経済低迷、コロナ禍、ウクライナ侵攻でハワイへのハードルは上がり続ける

 そんなハワイ旅行が今、驚きの物価高騰で世間を騒がせている。番組ではラーメン店で家族で1万円以上かかったなどのショッキングな情報も飛び出していたが、これは本当なのだろうか。

「4人家族で1万円ということは単純計算で見るとラーメン1杯で2500円くらいの計算になりますが、現在の状況を考えると妥当な金額です。こうした高騰は当然その他の飲食店や服飾店、レジャー施設でも同様。観光費用の高騰もそうですが、航空券に付加される燃油サーチャージの高騰も顕著で、こちらの負担のほうが旅行者的には厳しいでしょう」(同)

 こうした物価高騰は、大きく2つの原因に分かれていると鮫島氏と続ける。

「価格高騰には長期的理由と短期的理由の2つがあります。長期的理由から述べますと、日本はずっと経済成長の鈍化とデフレ状態で、20年以上平均賃金はほぼ変わっていません。ついに韓国にも抜かれてしまいました。一方で、世界の経済成長は日本よりも高く、賃金も比較的上昇傾向にありました。特にアメリカは経済成長に伴って物価も上昇しているのですが、所得も同時に上がっていました。経済の低迷を続けている日本との差が徐々に開いていく傾向がコロナ禍前から見られました。ですから、海外渡航時、日本人にとって相対的に物価が高く感じてしまうのです。

 さらに短期的な理由として、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響が加わります。コロナで航空便やホテルの供給量が大幅に小さくなったため、商品単価を上げざるを得ません。また、ウクライナ侵攻で石油や天然ガスの禁輸措置や小麦などの生産量が減少してしまった影響で、世界的に輸入原材料の価格が高騰したことも、物価高騰の要因といえるでしょう。さらに最近のドルに対する急激な円安は、海外旅行の負担額増加に拍車をかけています」(同)

 だが、こうした状況でありながら、ハワイへの日本人観光客は増加中だとも報じられている。

「これは『何と比べて増加しているのか』に注目する必要があります。確かにコロナ禍による渡航制限の厳しくほとんど渡航者がいなかった前年に比べれば、旅行予約数は何倍にも上昇しています。これは今まで行けなかった分を取り返そうという消費者による予約で、俗に“リベンジ消費”と呼ばれています。ですがハワイへの日本人旅行者数の実態は、コロナ禍前のレベルには全く達していません。あくまで再生の途上という状態です」(同)