決定的な「カイロ大学の卒業証明」
法的に決定的なのは「カイロ大学の卒業証明」である。評論家の舛添要一氏は、エジプトのカイロ大学は東大やハーバード大学などと違って、卒業についてもルーズである旨の指摘をしているが、仮にそうだとしても、それはカイロ大学に対する「批判」にすぎず、小池氏の「卒業」の事実や効力を左右する理由にはならない。のみならず、舛添氏も「卒業」を否定する確たる証拠を持っていない。
また、元事務総長は小池氏に「卒業証明」の方法につきアドバイスし、上記「卒業証明」の文案まで元事務総長側で作成提供したと主張するが、仮にそうであっても、提供された文案に基づき卒業を「証明」したのがほかならぬカイロ大学自身であるから、文案の作成提供がカイロ大学による「証明」の事実や効力を左右するものではない。
「名誉棄損」「選挙妨害」の可能性元事務総長は、もし7月の東京都知事選挙で小池氏がカイロ大学卒業と選挙公報に記載すれが公職選挙法違反で告発する用意がある旨述べている。しかし、上記の理由から、もし告発されても嫌疑なし、または嫌疑不十分で不起訴となる可能性が極めて高い。検察にとっては、それほどまでに「カイロ大学の卒業証明」は法的に極めて重い事実なのである。
もし「学歴詐称」の確たる客観的証拠もなく「公職選挙法違反」で小池氏を告発すれば、名誉棄損罪や選挙妨害罪を構成する可能性も否定できないであろう。
大手マスコミ・赤旗の沈黙は当然今回の「学歴詐称問題」につき、朝日、毎日、読売、産経などの大手新聞やテレビをはじめ、共産党の赤旗さえも「小池攻撃」をせず沈黙を守っている。それだけ「カイロ大学の卒業証明」の事実は重いのである。なぜなら、確たる証拠もなく、「カイロ大学の卒業証明」の事実や効力を否定することは、カイロ大学のみならず、エジプト政府を否定し批判することにもなりかねないことを承知しているからである。
最後に、最側近であった元事務総長による今回の「学歴詐称告発」の「真の動機」が全く不明である。産経新聞4月21日号「花田・週刊誌ウォッチング」にも「それにしても、どうしても分からないのは、今、小島氏が告発に踏み切った動機だ」とある。全く同感である。元事務総長は小池知事を告発した以上は、「告発」の真の動機を正々堂々と明らかにすべきである。
上記拙論は、弁護士実務経験30年の元弁護士の立場から、本件「学歴詐称問題」を純粋に法的に検討したものである。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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