ネットカフェ業界でシェア1位の快活CLUB、親会社は紳士服のAOKI

 まずは快活CLUBの出自について振り返っておこう。

「2003年、多角化経営を進めていた紳士服チェーン店の大手AOKIグループが、ネットカフェ事業として快活CLUBの1号店を幕張(千葉県)にオープンさせました。その後、快活CLUBを続々とチェーン展開していき、紳士服事業に匹敵するAOKIグループの経営の屋台骨として存在感を強めていったのです」(西川氏)

 そんな快活CLUBは、今やネットカフェ市場で4割以上のシェアを占めているといわれている。

「もともとネットカフェ市場は個人経営のお店が多く、大規模チェーンがなかったブルーオーシャンでしたが、そこにAOKIが参入して蹂躙していったからです。AOKIは紳士服事業やカラオケ事業で店舗をたくさん持っており、それらの不採算店などを業態転換させて快活CLUBとしてオープンさせていったことも、功を奏したのでしょう。ちなみに、快活CLUBはフランチャイズ展開しておらず、全店が直営店なので利益率が高く、気づけばAOKIの主力となっていたというわけです」(同)

 だが快活CLUBも、ここ数年は少々苦しい状況にあるという。

「まず、ネットカフェ業界全体が縮小傾向なのです。10年ほど前に比べると市場規模は約半分にまで下がっています。一気に普及していったスマホに人々の可処分時間を奪われたことが大きな要因でしょう。ネットカフェのもうひとつの売りであったレンタル漫画も、漫画アプリの普及により、スマホで読む人が増えてしまいましたしね。

 さらにコロナ禍も痛手でした。ネットカフェはブースごとに仕切られてはいますが、それでも個室の上部や下部は空いているので、同じ空間に大人数が滞在することが前提となっていたサービスです。そのため感染リスクへの懸念から客数は減少しました。コロナ禍の影響は、営業利益の推移を見れば明らか。2018年度の営業利益は約15億円の黒字でしたが、新型コロナウイルスで外出制限や外出自粛がされていた2021年度は約30億円の赤字に転落してしまっていたのです。ただ、コロナ禍の終息が見え始めていた2022年度は約20億円の黒字に復活しています」(同)