インターネットカフェ「快活CLUB」がウリである無料のドリンクバーとソフトクリームの提供を有料化するという情報がSNS上で広まり、話題を呼んでいる。果たしてこの情報は事実なのか。運営元に真相を聞いた。

 全国に492店舗(6月現在)を展開する快活CLUBは、ワイドモニターやパソコン、リクライニングシートが備え付けられた鍵付き完全個室を3時間だと1660円(税込み、以下同)、24時間だと7020円で利用できるのが特徴(料金は店舗によって異なる)。仕事や映画・アニメ鑑賞、ゲームができるほか、コミック最大5万冊、雑誌100タイトル以上が読み放題で、店舗によっては複数人でカラオケやダーツ、ビリヤードをするスペースも設置。有料の食事メニューも豊富にそろえられており、従来のネットカフェというスタイルを超えたリラックス・エンターテインメントスペースとなっている。

 快活CLUBは、大手ビジネスウェアチェーン・AOKIホールディングス(HD)が2003年に1号店を出店して始めた事業。運営元の快活フロンティアはAOKIHDの完全子会社であり、快活CLUBのほかにカラオケチェーン「コート・ダジュール」、フィットネス「FiT24」「ライナ」を展開している。AOKIHDの2023年3月期連結決算の売上高は1762億円、営業利益は102億円であり、このうち快活CLUBを筆頭とするエンターテイメント事業の売上高は712億円、営業利益は33億円。ビジネススーツ市場縮小のなかで事業多角化を進めるAOKIHDにとって、快活CLUB事業が経営面で重要な存在となっている。

「AOKIHDは営業利益のうち本業のファッション事業が占める割合は約6割まで低下しており、青山商事も4~5割ほど。青山商事も百円均一ショップのダイソーと販売代理店契約を結び、青山店舗のダイソーへの転換を進めるなど、ビジネススーツ市場の2強である両者ともに事業の多角化に注力している」(小売りチェーン関係者)

「席料とは別途料金を頂戴いたします」

 そんな快活CLUBといえば、さまざまなサービスを無料で提供している点が多くの利用客を獲得する要因となっていたが、2022年に入り、これまで無料だったモーニング(朝食)やシャワー利用、タオル利用を有料化。さらにフードメニューの値上げ、学割割引率の引き下げ、土日追加料金の値上げなど実質的な値上げを敢行。さらに今月14日からはドリンクバーを200円、ソフトクリーム付きのドリンクバーを300円で有料提供するかたちに切り替えるという情報が広まっているのだ。無料のドリンクバーおよびソフトクリームの提供を終了するという情報は事実なのか。快活フロンティアは次のように説明する。

「事実となります。2023年7月14日より、快活CLUB秦野曽屋店 1店舗でドリンクバーを利用される場合は、席料とは別途料金を頂戴いたします。有料化に当たっては、プレミアムコーヒーとして人気の『コスタコーヒー』をラインナップに追加させていただきます」

 今後、他の店舗でもドリンクバー有料化が広がる可能性もあるため、日頃から利用する人々の関心を集めそうだが、前出・小売りチェーン関係者はいう。

「店舗数が約500店舗まで広まり、根強い固定客も一定数獲得することに成功し、加えて昨今の物価上昇を受けて値上げに対して消費者から理解が得やすい環境も整ったということで、これまでの『過剰な無料サービス』の見直しに動いたということだろう。無料だったドリンクバーが200円になったところで、これまでの固定客が離れるとは考えにくく、たとえ全店舗で有料化されても、集客への影響はほぼないどころか、収益的にはプラスに働くだろう。価格戦略的には教科書通りで正しい」

 当サイトは6月13日付記事『快活CLUB、なぜ人気サービスを続々廃止するのか…不満続出も、すべて想定内か』で快活CLUBの値上げの背景について解説していたが、改めて以下に再掲載する。

――以下、再掲載――

 漫画・ネットカフェチェーンの大手「快活CLUB」が、人気サービスを次々と終了させており、ファンから不満が続出している。

 無料モーニング廃止、シャワー無料&タオル廃止、ソフトクリームシロップ撤去など、快活CLUBのウリにもなっていたサービスが、どんどん廃止されているのである。

 2021年度の売上高は469億3200万円にも上り、日本経済新聞社が昨年10月にまとめた「サービス業調査」にて、漫画やネットカフェを指す“複合カフェ”業界における売上高1位を獲得していた快活CLUBに、何が起こっているのだろうか。

 そこで今回は、業界事情に詳しい流通ジャーナリストの西川立一氏に、快活CLUBがなぜ人気の各種サービスを取りやめる事態に陥ってしまっているのかなどについて、解説していただいた。