9月20日から生後6ヶ月以上の全年齢層を対象に、XBB対応ワクチンによるコロナワクチン接種が始まる。

総接種回数が4億回に達しているにもかかわらず、コロナの流行が収束する気配は見られない。ワクチン接種の推進に前のめりになるばかりではなく、これまでのワクチン接種の功罪についての検証も必要な時期ではないだろうか。

わが国では、ワクチンの接種開始から2023年4月末までに、2,180人のワクチン接種後の死亡事例が報告されている。死亡事例の多くは高齢者であるが、小児や若年成人の死亡事例の報告も散見される。死亡事例の報告は、ワクチンの接種が始まった2021年が多く2022年には減少した。

2021年における10歳から49歳の死亡事例報告の総数は136人である。最も多い死因は心筋炎・心膜炎(21人)で、不整脈(17人)、突然死(14人)、心不全(9人)、クモ膜下出血(9人)が続いた。突然死も心臓関連死が多いと考えられるので、青少年・若年成人では、死因が判明しているワクチン接種後死亡事例の大半は心臓関連死であると思われる。

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ワクチン接種によりスパイクタンパクが産生されるが、スパイクタンパクが心臓周皮細胞の機能不全や内皮細胞の炎症を起こすことが知られており、ワクチン接種が心筋炎の原因であることは十分考えられる。

最近の報告によると、ワクチン接種後19日以内に心筋炎を発症した16人の若年者のうち、13人(81%)において、血中から遊離スパイクタンパクが検出された。一方、ワクチンを接種するも心筋炎の症状が見られない場合には、遊離スパイクタンパクは検出されていない。

Circulating Spike Protein Detected in Post-COVID-19 mRNA Vaccine Myocarditis

上記の研究から、心臓関連死のなかでも、心筋炎・心膜炎はコロナワクチン接種との因果関係があるとされているが、不整脈や心不全についてはコロナワクチンとの因果関係は不明である。

しかし、図1に示すように、不整脈や心不全の発症はワクチン接種から1週間以内に集中しており、時間的関係からは、ワクチン接種との因果関係を疑わざるをえない。

図1 心臓関連死におけるワクチン接種から死亡までの日数2023年7月28日開催厚生科学審議会資料から筆者が作成

厚労省から発表される人口動態調査には年齢別の死因統計が含まれている。死因として心筋炎・心膜炎の項目はないが、不整脈、心不全の項目があることから、不整脈、心不全について、2018年から2022年にかけての年齢別、月別の死亡者数を検討した。

図2には、不整脈による男性死亡者数の月別変動を示す。各年代に共通して、2021年の2〜4月の3ヶ月間に突出して死亡者数の増加が見られた。

図2 不整脈による男性死亡者数の月別変動厚労省人口動態統計月報をもとに筆者が作成