メインとなるバーガー類に課題

「渋谷井の頭通り店」を訪問した。まずバーガー類を選びドリンクなどを追加するスタイルで、今回はトリキバーガーに国産ポテトSとドリンクMがつくトリキセット(計750円)を注文した。ドリンクは「おかわり無料」に魅かれてコーヒーを注文。新しく淹れてを提供してくれると言われ、出来上がるまでの飲料としてカップ入りの水を提供してくれた。このあたりの気配りはうれしい。店内は満席ではなく、他に5組の客がいた。各席にコンセントが設置され、後発店ゆえの設備の充実さを感じた。

 淹れたてのコーヒーは、他のファストフード店と比べて酸味と苦みのバランスがよく、本格度合いは半端ない。特に国産ポテトとのマッチングは秀逸と感じた。某ハンバーガーチェーンのような塩まみれではなく、細切りだが素材の味わいを感じさせてくれる。控えめな塩味とポテトのほっこりした口触りが、ポテトフライの味わいを想起させてくれる。

 課題はメインとなるバーガーだ。胸肉のチキンフィレは味が平坦で、レタスも芯の部分が多くサクサク感はない。サイドメニューの持つ個性に比べて、メインとなるバーガーにTORIKI BURGERならではという個性やこだわりを感じることはできなかった。店舗自体は路面店のため、歩道から店舗内が見渡せる設計。明るさも適度にあり、男性客も女性客も利用しやすい店舗といえる。

 別の日に大井町店を訪問。1階がレジカウンター、2階が飲食スペースとなっている。1階にも数席あるが、テイクアウト客用と推測される。1階で注文した後の2階への移動は、狭い階段かエレベーターを利用。17時過ぎの訪問であったが、2階は学生や社会人などで席の3分の1ほど埋まっていた。ここではチキンカツバーガーのトリキセットを注文した。チキンカツはほのかに温かいが、冷めたバンズに挟まった状態で提供され、国産ポテトも温かくはない。時間帯によるのかもしれないが、やはりポテトは揚げたてとまではいかなくても温かいほうが好まれるだろう。

 他のバーガーチェーンに比べて原価率は高く設定されていると想定され、商品のポテンシャルは高い。ただし、食べ応えや満足度は提供される時点の商品の温度に左右される面もあり、「また来よう」と考える客がどれだけいるのかといわれれば疑問だ。現在の鳥貴族グループの業績低迷の根本的原因が、ここにも現れていると感じた。

 鳥貴族ホールディングスは23年7月期第2四半期決算説明会の資料において、TORIKI BURGERの今後の方針について次のように記述しており、現状に課題があるとの認識であることがうかがえる。

・チキンバーガー業態を確立・展開していく中長期的な方針に変更は無し ・既存モデルでの新規出店は保留、ビジネスモデル・ブランドの見直しに着手 ・3号店は見直し後モデルでの出店を目指す

 今後、消費者目線でTORIKI BURGERの運営方針・体制を再構築して、価値を創出してくれることに期待したい。

(文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

提供元・Business Journal

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