イスラエル戦時内閣は16日、同国を無人機やミサイルなどで集中攻撃したイランへの対応について協議し、「強硬な報復攻撃をする」ことでほぼ一致、その時期、規模などについては明らかにしなった。協議は17日も継続される。

ロシアのプーチン大統領(左)と電話会談するイランのライシ大統領(2024年4月16日、IRNA通信)

イランの13日夜から14日にかけての攻撃に対し、イスラエル側の被害はほとんどなかった。イスラエルが世界に誇る防空システムのおかげで約300機の無人機、ミサイルをほぼ全て撃墜、1人の少女が負傷しただけに留まったことから、イスラエル側が大規模な報復攻撃は控え、軍事基地や石油生産拠点への限定攻撃に留まるのではないか、という憶測がある一方、「イランの13日の攻撃を受け、イラン国内の核関連施設への攻撃を実施する可能性がある」という情報も聞かれる。

ウィーンに本部を置く国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は16日、「イランの核関連施設への如何なる破壊行動も危険だ」と警告を発している。ちなみに、イランは2015年7月、国連安保理常任理事国5カ国にドイツを加えた6カ国と核合意を締結し、イランの核開発計画はあくまでも核エネルギーの平和利用と主張してきた。しかし、トランプ米前政権が2018年5月、イランが核合意の背後で核開発を続行しているとして核合意から離脱後、イランは順次に核合意の合意内容を破棄し、IAEAの査察活動を制限する一方、ウラン濃縮活動を加速し、高濃度ウランの増産を進めている。例えば、2023年1月、濃縮ウラン83.7%の痕跡がイラン中部フォルドーの地下ウラン濃縮施設の検査中に発見されている。イラン当局は当時、IAEAに対し、「非常に高いレベルの濃縮は意図しない変動で生じたもの」と弁明してきた(「イラン『濃縮ウラン83.7%』の波紋」2023年3月2日参考)