チャート:米3月小売売上高、前年比は6カ月ぶりの強い伸び
(作成:My Big Apple NY)
――小売売上高は過去4カ月間で3回目の増加となり、特にリテール・コントロールが好調で消費活動の堅調ぶりを確認しました。税還付が小売売上高を押し上げた一因でしょう。
物価上昇分を取り除いた実質ベースでは前月比0.3%増と、名目値の0.7%増を下回りつつ堅調な伸びを維持。インフレだけが小売売上高を押し上げたわけではない実態が浮かび上がります。
チャート:実質ベースの小売売上高、2カ月連続で増加
(作成:My Big Apple NY)
結果、FF先物市場では7月利下げ観測が後退し、NY時間午前9時55分時点で据え置きの織り込み度が55.6%と過半数に達しています。また、年内の利下げも、1回に収斂し始めました。
チャート:FF先物市場、7月利下げ開始予想が後退、年内の利下げは1回に収斂
(出所:Fedwatch)
米4月NY連銀製造業景況指数がマイナス14.3と、市場予想の-5.2を下回り、前月の-20.9に続き2桁のマイナス幅を記録しますが、どこ吹く風です。
Fed高官は利下げに急がない姿勢を強調しつつも、NY連銀総裁が4月11日、市場予想を上回る米3月消費者物価指数を受けても、インフレ率2%の道筋は「凸凹である」との表現を繰り返しました。パウエルFRB議長が米3月CPI前に使用していた表現を維持した格好です。つまり、物価が上向く場面があっても、インフレ率2%の目標に到達するとの見通しが続く限り、Fedは年内利下げの道筋にあるということなのでしょう。
バイデン大統領は4月10日、米3月CPI後に1カ月程度遅れる可能性に言及しつつも、「年内の利下げ予想を維持する」と明言しました。こうした姿勢が変化するのか、バイデン大統領自身や政権高官、そしてFed高官の発言が待たれます。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2024年4月15日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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