ネット詐欺を調査する記事ばかりを担当していたら、怪しいメールにも耐性がつきすぎてしまった今日この頃ですが、今回紹介するメールはかなり怪しいものでした。

 調査の発端は、読者から届いた調査リクエスト。転送されてきたのは、あの大手フリマサイト「メルカリ」を名乗るメールです。

 開くとのっけからGmail側が警告を出しており、もはや判別する前に「クロ」と思われる危険なメール。一般の人ならこの先に進もうとは思わないことでしょう。が、依頼があったからには調べてみることにしました。

怪しさしかない「メルカリ」からのメール

 最初に毎度のお約束ですが、筆者は調査にあたり、万全の備えをして挑んでいます。一般の方が気軽に真似して良い行為ではありませんので、これから筆者が行うことは決して真似しないでください。好奇心は本稿で、満たしていただけたら幸いです。

 さて、今回読者から転送されてきたのは「【メルカリ】お客様のアカウント認証に関するお知らせ」というタイトルのメールですが、Gmailが優秀なため、「危険」であることをすでに警告してくれております。

「メルカリ」名のる怪しいメールを調査 誘導先には何がある?
(画像=『おたくま経済新聞』より 引用)

 一体この先にアクセスすると何が起きるのか、潜入してみます。ちなみに、リンクはGmailが削除したのかクリックしてもアクセスできないので、直打ちしてアクセスします。URLはメルカリとは全く関係ないドメインになっていました。

偽メルカリにアクセスしてみる

 まず出てきたのがログイン画面。ここではユーザーIDとパスワードを……

「メルカリ」名のる怪しいメールを調査 誘導先には何がある?
(画像=『おたくま経済新聞』より 引用)

 とちょっとまった、これは相手がユーザーIDとパスワードを盗むために仕込んだ罠。いわゆる、情報を抜き取るために作られた「フィッシングサイト」と呼ばれるものです。ここで安易に情報を入れてはいけません。

 ということで、実際には存在しないユーザーIDとパスワードを入れます。

 すると……「偽のサイトでパスワードを入力しました。アカウントを保護するため、保存したパスワードをすぐに確認することをおすすめします」という、ブラウザからの警告が出て止めにはいってくれました。ありがとう。

「メルカリ」名のる怪しいメールを調査 誘導先には何がある?
(画像=『おたくま経済新聞』より 引用)

 でもここで回れ右はできないので、進みます。すると出てきたのが……

 「パスワードが誤っています」

「メルカリ」名のる怪しいメールを調査 誘導先には何がある?
(画像=『おたくま経済新聞』より 引用)

 ほう。はじかれました。しかし文字に違和感。よく見ると、「誤」の文字は、右側が「呉」ではなく「口に天」。調べると中国語の「誤」の文字が使われていました。

 その後、色々試行錯誤して、無理やりログイン画面を突破しようとすると、スクリプトがエラーを起こします。どうやら開発者があまりその辺のテストをしていない模様。だめだこりゃ。

「メルカリ」名のる怪しいメールを調査 誘導先には何がある?
(画像=『おたくま経済新聞』より 引用)

 この手のフィッシングサイトの場合は、もちろん正規のユーザーデータベースと連携していません。だから大半はでたらめを入力しても突破できるのですが、今回は「パスワードが誤っています」と出てきました。

 この理由はおそらくですが、何度も入力させて複数のパスワードを盗み取るのが目的。

 普通の方ならば、「パスワードが誤っています」が出た時点で、あれ?何か間違ったかな?となり、別のパスワードを……となる場合があるでしょう。そこで別のパスワードを入れようものならば、さらにまたパスワードが抜かれる……ということです。よって、絶対に入れてはいけません。

 というか、このサイトにアクセスする時点で本来は危険。絶対にアクセスはしないでいただきたいです。