送電網に対する99.999%の信頼を目指して

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Asobaは、経済発展とは、信頼性が高く、かつ広く利用可能な送電網を通じた電力が存在して初めて実現可能になるものであると考える。しかしながら、アフリカ大陸の全企業の80%近くがその送電網にすらアクセスできないという残酷な事実がある。

そこで同社は、アフリカ随一のクリーン・エネルギー・ネットワークを構築するというビジョンを掲げた。同社による専門的なエンジニアリング、標準化された調達管理、最先端の仮想送電網管理ソフトウェアの組み合わせにより、送電網に対する99.999%の信頼性の達成を目指すという。

電力アクセス改善でアフリカのGDP上昇に貢献

このような野心を抱くAsobaを率いるのが、Google出身で、同社を設立したCEO・Shingai Samudzi氏だ。同氏はアフリカにおける電力・エネルギー業界の見本市「Enlit Africa 2023」のCEOプログラムに参加した際に、以下のように語っている。

「我々がアフリカに興味を持つ理由の一つは、大きなチャンスがあるから。しかし、私自身にとってさらに重要なのは、私がジンバブエ出身だという点にある。私は米国で育ったが、コアはアフリカ人だ。

アフリカでは多大なる潜在的な経済力が抑制されていて、それは電力供給や送電網の不安定さに直接関係している。そのため、より安定した電力供給を可能にし、もっとアクセスしやすくするソリューションを提供できれば、アフリカの潜在的な経済力が引き出され、GDPの成長が実現するのだ。

つまり、1人あたりのGDPと電力アクセスには、非常に密接な関係がある。電力アクセスが良い国は、GDPも良い。アフリカがどこでどのように発展できるのか、実に明確だろう。

再生可能エネルギーは、欧米諸国を中心に、失敗や問題点も抱えながら発展してきた。これらの経験をもとに、アフリカにも横展開できると考える。それが、アフリカにおいても再生可能エネルギーによって国を工業化することができると実証できる効果的な方法になるだろう。」

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米国の調査会社GRAND VIEW RESEARCHのレポートによると、世界のVPP市場規模は、2022年に34.2億米ドルと推定され、2023年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)22%で成長すると予測されている。今後、VPPが世界の電力市場で担う役割はますます高まっていくであろう。

加えて、アフリカでは人口成長率も著しく、IMF(国際通貨基金)のレポート「AFRTICAN CENTURY」によると、アフリカの人口は2050年に約25億人に達し、世界人口の約4分の1を占める世界最大の人口を擁する経済圏になると、2022年時点では予想されている。

つまり、約25年後には地球の4人に1人がアフリカ人になるのだ。当然、必要とする電力もその分増加していく。このようなデータから、今後アフリカでのVPP市場がさらに盛り上がっていくことは一目瞭然であろう。

プレーヤーも増えていくと予想されるなか、アフリカにおけるVPPビジネスに比較的早期に着手したAsobaは先行者利益を得続けられるだろうか。今後のAsobaの活躍に要注目だ。

参考・引用元:
Asoba公式サイト
Asoba LinkedIn公式ページ

(文・Mika Ito)