ブザー音が延々と流れ続ける謎のラジオ放送がロシア国内で40年前から継続してオンエアされている。“ザ・ブザー”とも呼ばれているこの放送がどんな理由で続けられているのか、未だ謎のままだ――。

■40年以上オンエアされている謎のブザー音

 ロシアの短波放送「UVB-76」は謎のブザー音を1982年から延々と40年以上流し続けている。

 ラジオの周波数を4625kHzに合わせるだけで、24時間年中無休のこの奇妙なブザー音を世界中の誰もが聴くことができる。数カ月ごとに暗号化されたメッセージと思われる音声によってブザー音が中断されることがあるが、ブザー音についてもそのメッセージについても何もわかっていない。

 この放送は1982年という米ソ冷戦時代の終盤に始まっている。したがって軍事的戦略に関係したものであると考えるのは自然なことだろう。

 そこでこのブザー音が「死の手(Dead Hand)」の信号として機能しているという指摘もある。「死の手」とは当時のソ連が核攻撃を受けた場合、指揮系統が完全に破壊されていたとしても自動的に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を敵国へ向けて発射させることができる軍事的報復システムである。もしこれが本当ならきわめて物騒な放送ということになる。

『ザ・ブザー』40年以上続くロシアの謎の短波放送「UVB-76」の謎
(画像= 、『TOCANA』より 引用)

“ザ・ブザー”の放送は途絶えることなく続いているが、2010年9月1日に一定時間放送が停止されたことがある。多くの陰謀論者はこれが世界の終わりだと思ったが、もちろんその後に全面核戦争が起こることはなかった。

 また2014年3月18日のロシアによるクリミアの併合が行われて24時間も経たないうちに、「UVB-76」で次のようなアナウンスが読み上げられている。

「ミハイル・ディミトリ・ジェーニャ・ボリス(放送局のコールサイン)。ミハイル・ドミトリ・ジェーニャ・ボリス。8126 T-E-R-R-A-K-O-T-A」

 これが何を意味しているのかは不明だ。

 クリミア併合に先立つ2014年2月12日、放送ではどこからともなく現れた女性の声が響いた。

 何らかの混信事故と考えられるのだが、彼女は「こんにちは、バルカン」とあいさつをしてマーシャという人物と会話をしており「わかりました、マーシャ、私はしばらくここで待機しています。バルカン分類におけるそのチャンネル番号は何ですか?」とロシア語で話したのだった。

 もちろんこの一件についてもよくわかっていない。