創業者自ら“潜入調査”を行いユーザー体験を徹底

Apnaを創業したParikh氏。同氏の起業のモチベーションは常に「社会、人々が抱える課題を解決したい」という想いだ。2009年19歳の時に、最初に立ち上げたのが、水力発電オートメーション・IT制御サービスを提供するIncone Technologies。その時の想いは「インドにおける洪水の問題を解決したい」というものだった。

2012年にはAIによる情報要約サービスのプロバイダーCruxbotを起業し、その後スタンフォード大学の経営大学院でMBA(経営学修士号)を取得。

それ以降もAppleの他にもIntel Educationにおける重要ポストなどキャリアを積んだ同氏。コロナ禍の少し前に帰国し、インドで目にしたのはブルーカラー労働者の台頭だった。そこで新たに生まれたのが「ブルーカラー労働者の抱える本当の問題を理解し、それを解決したい」という想いだったという。

2021年に公開されたYouTube動画では「人は自分を良く見せようとして、自身の抱える本当の痛みは他人と共有しないものです。」そう語るParikh氏は、なんと自らも数社の工場で労働者として働き、ブルーカラー労働者の実態を理解するために“潜入調査”を行ったという。

そこで体感したのが、求人に関する情報の不透明さ、不正確さ、時間とコスト、スキルのミスマッチであったという。このような、創業者の想いから、求職者・企業をつなぐ公正で透明性の高いプラットフォームの「Apna」は生まれた。

グローバル展開を開始。日本の求人も掲載

Apnaはインド74都市に加え、昨年5月ついにグローバル展開を開始した。Parikh氏は「Narendra Modi首相が目指す『インドを世界における技術資本と開発エンジン国にする』というミッションに貢献したい」と語っており、将来的には1万人の労働力を世界に輩出することを目標としている(参考)。

現在は、カナダ、オーストラリア、UAEなどでの求人が中心で、2024年4月現在、日本における飲食店スタッフの募集が数件ある。今後、超高齢化社会、人口減少を避けることが難しい日本において、Apnaを利用する日本企業が増加することは十分考えられる。

参考・引用元:Apna

(文・CANAL KASAI)