栃木戦で見えた光明
ハイプレスのように運動量の伴うサッカーでは、選手たちの戦術に対する信頼と試合に向けたモチベーションが必要不可欠である。長いシーズン中それらを維持し続けるために何よりも重要なのは勝利を手にすることだろう。その意味で第8節の栃木SC戦で手にした大勝(8-0)は、これまでの努力が報われた瞬間だった。
前半のうちに3得点を奪った千葉は、勢いそのままに後半は5得点。クラブ史上最多となる8ゴールを記録し5試合ぶりに勝利を飾った。さらにこの試合で良かったのが、“自分たちのサッカー”で大量得点できたことだ。栃木の守備が完成度を欠いていたこともあるが、得意のハイプレスが千葉の武器として明らかに通用することを実感できた試合であり、選手たちにとっては今後もこのスタイルを続けていこうという自信が再燃したはずだ。
相手に希望を与えない前半を作れるか
ここで強く思い出されるのが、日本代表DF冨安健洋(アーセナル)がAFCアジアカップ2024決勝トーナメント第1回戦となるバーレーン戦(3-1)前に言っていた言葉だ。記者から意気込みを訊かれた冨安は「相手に希望を与えないことが大事になる。スタートからエンジン全開でやる必要はある」と語っていた。おそらく、今の千葉に必要なのがこれだ。
大勝を飾った栃木SC戦によってこれからチームが上向くと楽観視するのは早い。しかし栃木戦で見せたような、スタートから全力で猛攻を仕掛け前半のうちに相手に希望を与えないような点差に追い込むゲームプランは今の千葉にピッタリだ。毎回大量得点を見込める可能性は少ないが、4月7日にアウェーで行われる第9節徳島ヴォルティス戦では、前半のうちに勝負を決定づけるような千葉のプレーを期待したい。