機能性表示食品制度の問題点
今回の事案をめぐっては、機能性表示食品という制度そのものが問題を引き起こしたとも指摘されている。機能性表示食品制度は2015年に当時の安倍晋三政権が規制緩和による経済成長戦略としてスタートさせたもので、メーカーは国の審査を経ることなく届け出のみで販売することが可能で、その効能なども自社の判断で謳(うた)うことになる。そのため、制度の検討当初から安全性の担保面で懸念する声も強かった。
政府も危機感を持ち始めている。今回の事案を受けて29日、関係閣僚会議で林芳正官房長官は、同制度の今後のあり方を見直し、5月末までに取りまとめるよう指示。同制度を所管する消費者庁の新井ゆたか長官はすでに昨年から制度見直しの必要性を示唆しており、先月28日の会見では「届出全体の総点検の結果を見る必要がある」としていた。
食品メーカー関係者はいう。
「医薬品であれば厚労省や都道府県知事の承認を得ないと発売できないし、原材料の調達や製造プロセスの管理には厳格さを求められるため、今回のような問題は起きにくい。一方、通常の食品であれば安易に体調改善などの機能を謳うことはできない。機能性表示食品はそうした機能を自社の判断でアピールできることに加え、医薬品ほどの厳格な製造管理は求められないので、メーカーにとっては美味しい商材。ただ、医薬品的な成分を含む食品もある一方で、医薬品と比べれば製造における安全管理は緩くなるため、今回のようなアクシデントが生じることになる。今回の事態は、機能性表示食品という制度が生んだ不幸ともいえる」
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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