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スポーツカー不遇の時代と、無情の排ガス規制
その後も望まれ続けた「S16シルビア」、EVに期待!
スポーツカー不遇の時代と、無情の排ガス規制
ただし、1990年代が終わろうとする頃というのは、その年代を通して盛り上がったRVブームが成熟期に入り、安い中古おミニバンをベースに巨大なウーハーを積んでジャンジャン慣らしながらナンパしたり、ミニバンやSUVでオートキャンプへ出かけようという時期。
どちらにも適さないスポーツカーは「なんか汗臭いクルマ」として、家族にも女の子にも広く支持されるクルマとは言い難かったので、まあハッキリ言ってしまえば販売を見込めるクルマではありません。
だからこそS15シルビアもわりとお手軽に作られ、無駄を削ぎ落としたようなイメージチェンジに成功したのでソコソコ支持は受けたものの、マイノリティ(少数派)に甘んじねばなりませんでした。
日産としては、吹けば飛びそうにネガティブな企業イメージを回復するカンフル役として、シルビアにソコソコ期待をかけていたらしく、モデルチェンジがお手軽だった割には魅力的なモデルをいくつか作ります。
2リッターDOHC自然吸気スポーツエンジンとしては少々物足りないスペックだったSR20DEを、リッター100馬力の200馬力へチューンした「オーテックバージョン」や、電動メタルトップのクーペカブリオレ版、「シルビア ヴァリエッタ」などが代表的。
もちろん主力は2リッターDOHCターボのSR20DETを積む「スペックR(※)」で、D1などドリフト競技やジムカーナ競技、ラリー競技ではずいぶん活躍したもので、JGTC(全日本GT選手権)のGT300クラスでもチーム&ドライバーズのWタイトルを獲るなど大活躍。
(※ S13と14でのQ’sやK’sといったグレード名から、ターボのスペックRとNAのスペックSに変わっていた)
しかし、そんなS15シルビアの寿命は非常に短く、平成12年排ガス規制に対応することなく2002年11月には販売終了、4年足らずで終わってしまいました。
結局スポーツカー市場は国内のみならず世界的に縮小しており、S15の頃には北米向け240SXもないなど国外販売も見込めず、「古いサニーあたりのプラットフォームをいつまでも使い、古いエンジンをチューンして積む小型クーペ」を継続する理由がなかったのです。
後継は新たなフロントミッドシップ・プラットフォームへ新開発のVQ系V6スポーツエンジンを積むZ33フェアレディで、国際的にも国内的にも、シルビアはその役割を終えていました。
その後も望まれ続けた「S16シルビア」、EVに期待!
S15の生産終了から20年以上たちますが、その間に小型FRスポーツっぽいコンセプトカーが展示されては「S16シルビアか?!」と騒がれ、海外から怪しげなCGが紹介されては、ただの願望丸出しな創作と気づいてガッカリする日々の繰り返しです。
実際、日産には小型FRクーペに使えるプラットフォームなどもう存在しませんでしたから、どれだけ願おうと「無理なものは無理!」「根拠もなく新型新型と騒ぐものではない」と、筆者などあちこちのWEBメディアで、幾度も書いてきましたし、その通りでした。
ならば今後もシルビアの再来はありえないかというと…近年はe-POWERのようなHEVにせよ、バッテリーのみのBEVにせよ、「駆動輪などモーターをどこに置くかでいかようにもなる」という時代です。
FRというより「RWD(後輪駆動)」のEVまたはe-POWERスポーツなどいくらでも作りようがある時代になりましたから、案外シルビアの復活はすぐそこへ来ているかもしれません。
前後にモーターを置いた電動AWDが、模擬排気音を鳴らしつつ派手なタイヤスモークを上げてドリフトするデモなどいくらでもありますし、モーター駆動車の販売でトヨタより実績を積んだ日産らしい電動スポーツクーペとして、「S16シルビア」大いにアリです。
もちろん「エンジンぶん回してナンボ」の人が今は多いと思いますが、遠からずそんなクルマは新車でいくらも売れませんし、中古車は妙なプレミアで買えないようなエンジン車へいつまでもしがみつくより、速くてカッコイイのをサッサと出したもの勝ちですね。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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