今の装備で米中が戦えば、米軍が勝つと読む人は少ない。日米で力を合わせて米中が互角という状態を作らねばならない。日本は急がねばならない。

今では非武装・中立がいいという人はいないだろう。習近平体制はプーチン体制より戦争をやり易い体制だ。プーチン氏が一声でウクライナ占拠と突如言い出したが、習氏は既に何度も「台湾併合」を叫んでいる。叫ぶ一方で中米の高官の交流にも応じている。しかしこれでも台湾獲りは改めないだろう。過去主席は英国から香港を取り返した。その段階で一国二制度も最早、無いと分かった。台湾は日本の友邦だ。台湾は50年間日本だった。その国が自らを守りたいと言う。日本は「助けてくれ」と言われたら応ずるのが当たり前だ。

日本も米国も今、一体となって相互協力の体制を打ち出すべきではないか。一方で台湾の国連入りの運動を起こすべきだろう。安全保障理事国に中国とロシアがいる限り、容易な安保理改革はできない。だからと言って、永遠に改革待ちという訳にはいかない。そうなった時点で、台湾独立賛成派側は“新国連の設立”に踏み切るしかない。新体制側がどのくらい権限を持てるか、取り敢えず、台湾の国連加盟についての意見を聞いてみたらどうか。

国際情勢は極めて重いものがある。ここで日本は精神を入れ替えて生まれ変わる時だ。世界が日本の動きを注視している時に、岸田内閣は何を考えているのか。何故、最も重要な「憲法改正」を一言も言わないのか。

岸田氏の政治への力の入れ方に、普通の人間は戸惑っている。無知なのか、臆病なのか。どうやら岸田氏には国家の主権を動かす意志がなく、取り掛かる勇気もないようだ。すべからく、交代すべきだ。

屋山 太郎(ややま たろう) 1932(昭和7)年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、解説委員兼編集委員などを歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。著書に『安倍外交で日本は強くなる』など多数。

編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2023年10月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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