老後資金は2000万円が必要だという金融庁の報告書が話題になっている。老後の資産形成に有効な手段といえば税制優遇が受けられるiDeCoだが、いざ具体的な運用先を選択しようとすると迷うものだ。そんなiDeCoの初心者でも選びやすい商品を5つ紹介しよう。(※2019年5月時点)

iDeCo(イデコ)初心者はどんな商品を選ぶべきか

投資初心者であれば、リスクをできるだけ抑えた商品を選びたいと思うかもしれない。しかし、定期預金などの元本確保型の商品ばかり選んでいては、運用収益はなかなか上がらない。

運用収益を狙うのであれば、ある程度リスクのある商品を選ぶ必要がある。ここでは、比較的リスクが抑えられたファンドから、少しリスクを取りながらも積極的に収益を狙えるファンドまで、5つ紹介したい。今後のiDeCoでの商品選択、または金融機関選択の参考にしてほしい。

「DCダイワ物価連動国債ファンド」——ローリスク・ローリターンの運用を目指す人向け

「DCダイワ物価連動国債ファンド」は、日本国債に投資する商品なのでリスクが低く、ローリスク・ローリターンの運用を目指す人に向いている。

このファンドの特徴は、投資対象の中心が日本の物価連動国債であることだ。物価連動国債は、主に物価上昇率に連動して価格が変動する。そのため、積極的に資産を増やすと言うよりも、物価上昇から資産を守るという意味合いが強い商品と言えるだろう。

この商品は、さわかみ投信や損保ジャパン日本興亜DC証券が提供するiDeCoで購入することができる。

「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」——ファンド1つで国際分散投資を実現

「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」の特徴は、世界30ヵ国以上の株式と10ヵ国以上の債券に分散投資ができることだ。原則として株式と債券に半分ずつ投資されるため、分散投資によってリスクを抑えながら、安定したリターンが期待できる点も注目できる。ファンド1つで国際分散投資が実現できるという意味で、初心者でも選びやすいのではないだろうか。

信託報酬も低く抑えられており、コスト面でも魅力がある。しかし、解約時に信託財産留保額が差し引かれるファンドなので、短期売買では不利になるかもしれない。

この商品は、楽天証券やSBI証券のiDeCoで購入できる。

「DIAM DC国内株式インデックスファンド」——多くの金融機関で取り扱われているインデックスファンド

日本の経済成長に期待して投資をしたい場合、始めはリスクの高い個別株ではなく、インデックスファンドから始めるのがいいかもしれない。「DIAM DC国内株式インデックスファンド」は、TOPIX(東証株価指数)に連動するインデックスファンドで、信託報酬も年0.162%と非常に低く抑えられている。基本的に日本株の代表的な指数であるTOPIXに連動した動きになるため、初心者にも分かりやすい。ただし投資対象は株式のみなので、リスクはやや高くなる点に注意したい。

同ファンドは、マネックス証券やみずほ銀行など、多くの金融機関のiDeCoで取り扱われているのも特徴だ。

「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」——先進国株式へ安価なコストで投資できる

日本以外の先進国に投資範囲を広げたいのであれば、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」がある。業界最低水準の運用コストを目指す「eMAXIS Slim」シリーズのファンドの一つで、他社の類似ファンドが信託報酬率の引き下げを行った場合は、積極的に信託報酬率を引き下げて業界最低水準を目指すと宣言している。

投資先は先進国株式に広がるので、初心者にとってはレベルが高いと感じるかもしれないが、このファンドを通して低コストで先進国株式への投資ができるのは魅力だ。近年注目されている「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」で第1位を受賞している。

松井証券やSBI証券といったオンライン証券などのiDeCoで扱われている。

「ひふみ年金」——リスクを取って利益を狙う人向けのアクティブファンド

リスクが高くても積極的に利益を狙っていきたいのであれば、アクティブファンドも選択肢に入れたい。その一例として、「ひふみ年金」を紹介しよう。

「ひふみ年金」は、ここ数年人気を集めているファンド「ひふみプラス」の姉妹ファンドで、基本的に「ひふみプラス」と同じように運用される。「ひふみ年金」は、確定拠出年金用に用意されたファンドで、「ひふみプラス」よりも信託報酬が安く設定されているのが特徴だ。一時期の人気だけでファンドを選ぶべきではないかもしれないが、多くの人から支持されているという点は評価できる。

「ひふみ年金」は、イオン銀行や野村證券、住友生命保険など多くの金融機関でiDeCoの商品として提供されている。

文・潮見孝幸(金融ライター)
 

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