米国の世論

 米国の大学に留学経験がある外資系企業社員はいう。

「米国では日本ほど大谷はヒーロー扱いされているわけではないので、SNSでも水原氏が勝手に送金していたというストーリーを怪しむ声や、水原氏が大谷の身代わりになっているのではないかという声まで出ている。日本人が考える以上に大谷への世論の風当たりは厳しいものになるのでは。米国ではアジア人は冷たい対応をされることも珍しくなく、そういう米国に根深く残るアジア人への見方もバックグラウンドとしては影響してくる」

 山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は次のように解説する。

「一平さんが大谷さんの金銭を勝手に使った、送金された、違法な賭博をやった、といった報道がありますが、まだまだ不確かなところがあるので、今後、アメリカ国内でどのような捜査がなされ、何罪で逮捕・起訴されるかはまったくわかりません。日本の刑法は、『日本人が、海外で窃盗や横領をした場合も、日本の刑法を適用する(罰する)』と定めているので、もし、一平さんになんらかの財産犯が成立するなら、日本において逮捕・起訴があり得ます。しかし、外国で逮捕・起訴され、受刑したような場合、その後、帰国後に日本でも処罰されることはされるのですが、たいていの場合、減刑されたり免除されたりします。このため、『どうせ減刑、免除される』として、警察や検察はそもそも逮捕・起訴しない場合が多いといわれています」(3月22日付当サイト記事より)

 米メディア「NBCロサンゼルス」は、水原氏が米カリフォルニア大リバーサイド校を卒業したという学歴詐称を行っていたとも報じているが、弁護士はいう。

「証言が二転三転しているうえに学歴詐称も重なり、米国の捜査当局は水原氏の証言の信憑性は低いと判断するので、水原氏が違法だという認識を持たずに賭博をしていたという主張は認められづらい。一方、もし仮に大谷自身が送金していたとしても、水原氏は『大谷に無断で大谷の口座から送金した』という窃盗の罪にまで問われるような証言をしており、加えて水原氏と大谷側の証言が一致しているので、大谷が送金していたと認定がされる可能性は低い。よって、大谷が罪に問われるという展開になる可能性は低いと考えられるものの、米国の世論的には『本当に大谷は何も知らなかったのか』という疑いの目は残るだろうし、もし今シーズンの成績が悪ければ、大谷はかなり厳しい声に晒されることになるかもしれない」