移動手段の多様化が進み、さまざまな乗り物を目にするようになりました。交通社会を見ると、クルマやバイク、自転車や原付き、電動キックボード、歩行者など、さまざまな乗り物に乗った人や歩行者を目にします。一方、交通手段の多様化に伴い、これまでになかったトラブル、事故寸前のヒヤリ・ハット、交通事故が増えてきました。そこで、改めて基本的なルール・最新情報を紹介するとともに、違反やトラブル事例などを解説します。

電動キックボードの基本〜「特定小型原動機付自転車」編〜

街中で見かけたり危険な運転の様子が報道されたりする「電動キックボード」は、法律上の言葉に言い直すと「特定小型原動機付自転車」となります。この言葉からもわかるように、電動キックボードは原動機付自転車(いわゆる原付き)に分類される車両です。

警察庁の資料によると、特定小型原動機付自転車(電動キックボード)は、原動機付自転車のうち車体の大きさや構造などが自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないもので、運転する際に高い技能を要しないものとして道路交通法施行規則で定める基準に該当するものを指すとのことです。

つまり、電動キックボードは基本的に原付きであるものの、一定の基準を満たすことで、免許なしで運転することができ、ヘルメット着用が努力義務になる車両ということになります。

電動キックボードとして認められるための基準

電動キックボードとして認められるためには、次の基準を満たさなければなりません。この基準に該当しない車両は、電動キックボードの姿形をしていても「原動機付自転車(原付き)」となります。

【車体の大きさ】
・長さ:190cm以下
・幅:60cm以下

【車体の構造】
・原動機:定格出力が0.60kW以下
・20km/hを超える速度を出せないこと
・走行中に最高速度の設定を変更ができないこと
・AT機構がとられていること
・最高速度表示灯(道路運送車両の保安基準第66条の17の規定)が装備されていること

【保安基準への適合】
道路運送車両の保安基準に適合するものでなければ電動キックボードとして運転することができません。保安基準に適合しているか確認するためには、性能等確認済シール等の有無によってチェックすることかできます。

【自賠責保険(共済)への加入】
電動キックボード(特定小型原動機付自転車)は、自動車損害賠償責任保険または自動車損害賠償責任共済(いわゆる自賠責保険や共済保険)への加入が義務となっています。

なお、2024年4月1日からは特定小型原動機付自転車(電動キックボード)のための新しい保険料が適用されます。

(参考)損害保険料率算出機構:2024年4月1日以降に保険期間の始期を有する保険契約に適用される基準料率

※2024年3月末まで、特定小型原動機付自転車には原動機付自転車の自賠責保険料が適用されます。新しい保険料が、原動機付自転車の保険料より安くなる場合は、保険契約者が申請をすることで相応の差額が返還される場合があります。

【ナンバープレートの取付け】
電動キックボードの所有者は、ナンバープレートを取得し、車体の見やすいところに取り付けなければなりません。

なお、電動キックボードについては、原動機付自転車(原付き)の区分ではあるものの、安全性の観点から車体幅に収まるよう、従来の原動機付自転車のナンバープレートより小型のナンバープレートが順次交付されています。

電動キックボードに取り付けられるナンバープレートのサイズは、縦100mm×横100mm。すでに原動機付自転車のナンバープレートを取り付けている場合であっても、安全性の観点から電動キックボードに適したサイズの小型ナンバープレートに付け替えておくようにしましょう。

ナンバープレートの取得に関する手続き等については、市町村に問い合わせてください。