最新モデルは「クルマとの一体感」が向上
すでに高い完成度に達していた足回りは、最新版でいっそうの高みに達した。けっして軽くないGT-Rだが、回頭性は俊敏。コーナリングでもほとんどロールせず、強力なグリップを発揮するタイヤは路面を掴んで離さない。スタビリティは極めて高く、「限界」ははるかかなたにある。


2024年モデルで実施されたデザインの大幅変更により、実に13%もダウンフォースが増加。この空力向上により、車速を高めるほどに路面に吸い付くような感覚がある。姿勢は終始フラット。実のところ、そのあたりがGT-Rはポルシェなどの欧州勢に追いついていないと感じていた部分なのだが、2024年モデルはむしろ上回ったように思えた。しかも、乗り心地は悪くない。これほど締め上げられた足回りだと、硬いのかと思いきや、コンフォートモードを選択すると、同乗者と一緒にドライブが楽しめる乗り味。Rモードを選ぶとガッチリとするが、それでも許容範囲だ。
かつてR35GT-Rは、性能は高いが乗せられてる感が強いと評されてきた。ところが時間の経過とともに、クルマとの一体感が強まっている。各部に少しずつ見受けられた応答遅れが払拭されたことが効いているように思う。NISMOはなおのことだ。とてつもなく高いパフォーマンスを手の内で意のままに操ることができる。
R35は誰もがおいそれと買えるクルマではない。近年では購入資金が用意できても生産キャパシティの問題もあり、入手するのが難しいモデルの代表である。だがGT-R 、とくにNISMOはそれでもかまわない。存在してくれるだけで、夢を見ることができるのだから。
日産GT-R 主要諸元

グレード=NISMOスペシャルエディション
価格=6DCT 2915万円
全長×全幅×全高=4700×1895×1370mm
ホイールベース=2780mm
トレッド=フロント:1600/リア:1600mm
車重=1720kg
エンジン(プレミアム仕様)=3799cc・V6DOHC24Vツインターボ
エンジン最高出力=441kW(600ps)/6800rpm
エンジン最大トルク=652Nm(66.5kgm)/3600~5600rpm
WLTCモード燃費=未公表(燃料タンク容量74リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:255/40ZRF20/リア:285/35ZRF20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=4名
最小回転半径=5.7m