ロータリーならではの音は、健気なイメージでした

 そのエンジン音ですが、シングルローターだけに、「おにぎり」が回っているイメージの可愛い?音と振動が、わずかに伝わってきます。ブロロロ……と意外に野太い音質で、ツーローターの官能的な音ではありませんが、私は何だか「健気」と感じました。
 エンジニアによると、「これこそロータリーエンジンの音!」だそうで、開発時、この音を聞いて、感動していたスタッフも多かったそうです。

【Front Screen/安東弘樹】マツダMX-30 Rotary-EVは「健気なエンジン音」が印象的でした
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【Front Screen/安東弘樹】マツダMX-30 Rotary-EVは「健気なエンジン音」が印象的でした
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 試乗車は500万円弱(489万5000円)の上級グレード。室内は、リサイクル素材のシートの肌触りもよく、とても心地よい雰囲気でした。マツダの前身である、東洋コルク工業にちなんだヘリテイジ・コルク素材のカップホルダーカバーやコンソールフロアも気に入りました。

 ただし、装備に関しては少々、不満です。シートの調整は運転席こそ電動ですが、助手席は上級グレードでも手動。私は「ステアリングホイールがなく、シート前後の調整に力とコツが必要な助手席側こそ、電動調整が必要だ」と思っているので、これは何とかしてほしいと思います。リアハッチが電動で開閉できない点も少し残念です。MX-30のデザイン上、電動化は困難との説明を受けましたが、どうも納得できませんでした(笑)。

 輸出仕様にはサンルーフの設定がありますが、日本仕様では選べません。「日本では需要がほとんどないから」、との説明でしたが、MX-30 Rotary-EVは、特別なクルマがほしい、という方に向けた商品だと思います。それでしたら、より「他のクルマとの違い」を明確に打ち出すべきだと個人的には思います。ただしメーカーにとって難しいのは価格設定でしょう。500万円という価格は、日本では高級車の部類に入りますが、平均年収が800万~1200万円(円安状況ですので単純計算はできませんが)の欧米では、大衆車の価格レンジ。現地での価格は日本より高価にはなりますが、日本での値付けも考えてのコスト計算になりますので、日本メーカーの苦悩が分かります。  さて皆さん、とにもかくにも、一度、販売店に行って、このクルマに乗ってみてください。「新しいクルマ」に出会えることは保証します!

【Front Screen/安東弘樹】マツダMX-30 Rotary-EVは「健気なエンジン音」が印象的でした
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

【プロフィール】
あんどうひろき/フリーアナウンサー。1967年、神奈川県生まれ、元TBSアナウンサー、現在は独立し、TBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s ~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、MBS「朝日奈央のキラめきスポーツ〜キラスポ〜」、テレビ東京「ミライの歩き方」、bayfm78「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。自身のYouTubeチャンネル「no car, no life」もスタート。趣味・特技はモータースポーツ、クルマ全般、弓道、スキー。日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員

提供元・CAR and DRIVER

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