2022年末頃から、インド南部のバンガロールの街を歩いていると「BluSmart(ブルースマート)」の車を見かけることが多くなった。調べてみると、新興の配車サービスである。興味を持ち、何度か使ってみたところとても体験が良く、今ではヘビーユーザとなっている。

街中を走るBluSmartの車(2023年1月24日に筆者撮影)

インドにおいては、現在グローバルサービスの「Uber」と国産サービス「Ola Cabs」が配車市場の多くを占める。そんな中で、BluSmartはどんなサービスでどんな競合優位性があるのだろうか。筆者自身の体験も交えつつ考察していく。

高品質な配車サービスを提供するBluSmart

BluSmartは2019年1月に創業した、配車サービスを行うスタートアップである。最初はデリーエリアでサービスを開始し、2022年9月26日からはバンガロールの一部エリアでサービスを提供している。

まだ新興サービスであるBluSmartの売りの一つは、全車両がEV(電気自動車)であることだ。2024年3月時点で、1,130万回以上のライドを完了し、2.6万トンのCo2削減に寄与したと公式サイトでは述べられている。

Image Credits:BluSmart

「環境に良い」ということに加えて、ヘビーユーザの筆者が感じるBluSmartの良い点は、大きく以下の3つである。

1. ドライバーからのキャンセルがゼロ

インドにおける主要配車サービスであるUberやOla Cabsにおいては、配車確定後にドライバーによるキャンセルが発生することがしばしばある。これは、お客さんのピックアップポイントが遠い等、条件が良くないと、ドライバーが別の注文を受けた方が良いと考え、確保している注文を放棄するからだ。

特に朝や夕方などのピーク時には通常よりキャンセルが発生しやすい。筆者もキャンセルされることを見越して、UberとOla Cabs両方で同時に車を呼ぶこともある。ドライバーにとっても迷惑な話なので申し訳ないが、こちらも早く、確実に車に乗りたい。キャンセルされる可能性も考えると、お互い様というわけだ。

しかしお互いにとってキャンセル前提のサービスになってしまうことは、利用者とドライバー双方の体験を害しているといえる。

BluSmartにおいては、キャンセルが発生することはない。同社のウェブサイトによると「ドライバーにはキャンセルボタンがない」となっており、企業側もこれを一つの売りにしている。これはとても安心だ。

キャンセルがないことをアピールしている公式YouTubeビデオ