クオリティーの高い企画を出すときに突破するべき2つの壁

―――若者が企画を出すときに、意識しておいた方がいいことはありますか?

とにかく企画を出し続けることですね。与えられた仕事をこなしているだけでは、自主的にアイデアを生み出せない体質になってしまうかもしれません。

企画は、数をこなすたびに自分の引き出しが増えるため、若いうちから面白いことを探し続けることが大切です。企画を出し続ければ、新しい発想にいきなり挑戦するベテランよりも、質の高いアイデアを素早く生み出せる人材になれると思います。

―――企画を出すにあたり、注意しなければならないことがあれば教えてください

先ほど企画は数をこなすことが大切と言いましたが、ただアイデアを出せばいいわけではありません。提案先であるチームや上司の時間を奪わないためにも、企画を絞ってから出すことが求められます。

洗練された企画を出したいときは、自分の頭の中にある“2枚の壁”を突破したアイデアだけを提出する方法が有効です。

1枚目の壁では、とにかく自分が面白いと感じた企画をどんどん通してください。2枚目の壁で、1枚目で通した企画をドライにみて、本当に出すべきかを判断します。

自分の考えた企画は面白く感じますし、通したい気持ちが強くなっている状態なので、2枚目の壁で冷静に対処しましょう。「世間的には面白くない」「これでは周りが動かない」などの思考を経て、なお魅力的だと感じたものを企画として出すようにしてみてください。

2枚の壁は、鍛えれば高速で頭のなかを巡ってくれます。私もいまでは、相談されたその場でアイデアの良し悪しを判断し、質の高い企画を出せるようになりました。

企画によって通り過ぎていく景色の見え方が変わる

―――企画を考えるときに、畑中さんが大切にしていることを教えてください。

企画を考えるときには「人の気持ちや行動を変える」アイデアかどうかを大切にしています。

企画の面白いところは、見せ方ひとつで物事の印象を変えられるところです。私が企画した『絶メシ(絶滅してしまうかもしれない絶品メシ)』も、ちょっと入りづらい歴史ある地元の飲食店の魅力はそのままに、「この先なくなってしまうかもしれない」という希少性をメッセージにすることで、その見せ方の工夫をしただけなんですよね。


引用:dea inc. 『絶メシリスト』地域創生プロジェクトとしてドラマ化もされた人気企画

絶メシでは、地域に根づいたお店がなくなるとわかってから大切さに気付くのではなく、なくなってしまう前に足を運んでもらうような仕組みづくりに成功しました。

普段は通り過ぎてしまうようなものでも、見せ方によって人の気持ちや行動に変化を与えられるのは、企画ならではの醍醐味ですね。

後編では、若者がいますぐ企画を考えたくなるようなアドバイスや、実際にアイデアをチームや上司に納得してもらうためのコツをお聞きしています。