合わない人を「上手に」遠ざける技術

では、ここからは個人的に考える「合わない人を上手に遠ざける技術」について取り上げたい。

1. シグナルを出すこと

「自分はこういう気質の人間である」という属性をシグナルで出しておくと良い。リアルの人間関係の自己紹介や、SNSのプロフィール欄に記載しておくことである。ビジネス形態によっては、「価格」がシグナルになっている例もあり、たとえば高級ブランドなどは高額な価格を買ってくれるような顧客の選別をしている。

筆者が運営する英語多読のスクールでは、「この勉強法は自責の思考で、自助努力が出来る人がうまくいく」と伝えるようにしている。その結果、スクールに入会希望してくれるのは、そのような属性ばかりである。これは暗に過剰に依存体質や、他力本願の人を遠ざける効果があると思っている。万が一、合わない気質の人が入会してしまい、結果が出ないとなるとお互いに不幸になってしまうからだ。そのことを事前に回避するためにやっているが、いまのところうまくワークしている。

「自分はこういう人間だ」とシグナルを出しておくと、合わないと感じる人は入り口に入る前に去ってくれるだろう。

2. 対応を深掘りしない。

世の中には自分にとって悪意のない迷惑な人がいる。ここで肝になるのはあくまで「自分にとっては」という点である。つまり、Aさんにとって仲良くなれる人でも、Bさんには迷惑に感じる人もいるということで、要するに相性の問題だ。

筆者個人的には、「あなたの主張はおかしい。返事待っています」や「あなたはAではなくBするべきだ」のような、感情的にこちらの行いを正そうとする「正義マン」がこれにあたる。正義マンは概ね、40代以降の中年男性に多い印象だ。

過去にはYouTube Liveという逃げ場のない場所で、これをされて困ったことがあった。その際は周囲の人も見ているので、冷たい対応を取ってしまうと他の視聴者の雰囲気も悪くなる。それは絶対に避けたかったので、何を言われても「ご意見をありがとうございます。」とだけ対応をし続けた。それ以上、相手の話は一切深掘りしない。事務的かつ表面上な対応で終わらせれば、一応の対応はしているので相手から文句も出づらい。

他の人の目もある場では、相手に恥をかかせて深い恨みを買ったり、雰囲気を悪くしないよう、完全無視、露骨な否定はしないことが肝要である。

世の中には「仲良くなる技術」はたくさんあるが、その逆に「遠ざける技術」はあまり言われていない。だが、この技術はビジネスでも私的な付き合いでも、潜在的なニーズがあるのではないだろうか。少しでも参考になれば幸いである。

文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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