ビッグシックスとの残り対戦数がカギ

しかしやはり、優勝の筆頭候補と呼べるのはいまだにマンチェスター・シティなのかもしれない。FWジャック・グリーリッシュの負傷といった懸念点もあるなか、直近5試合の成績は4勝1引き分けと優勝争いの座をキープ。昨シーズンの王者はその強さを保ち続けており、第28節で繰り広げられたリバプールとの首位攻防戦は多くのサッカーファンを熱狂させた(1-1)。しかし熱狂の代償は大きく、リバプールのPKへと繋がったFWダルウィン・ヌニェスとの交錯により、GKエデルソンが右足を負傷。最大で4週間離脱の可能性があるとイギリスメディア『BBC』が報じた。控えのGKシュテファン・オルテガもすばらしい選手ではあるが、シティのビルドアップを支えるエデルソンの負傷はアーセナルとのビッグマッチへの不安材料であることは確かだ。

その反面、シティは日程面で他クラブより若干優位な状況に置かれている。次節以降における残りのビッグシックス(※)との対戦はアーセナル4試合、リバプール3試合に対し、シティは2試合のみである(第29節アーセナル戦、第34節トッテナム戦)。もちろん、プレミアリーグではどの試合も油断することはできないが、この3チームがいずれもヨーロッパの大会に残っていることを考えると、リーグ戦のどこかでローテーションを行うことが全ての大会で優勝するために必要不可欠だと思われる。そして現時点でその機会に最も恵まれているのがシティだといえるだろう。

※マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、アーセナル、チェルシー、トッテナム


リバプール MF遠藤航 写真:Getty Images

優勝は遠藤航と若手の活躍次第?

直近5試合の成績は5戦5勝のリバプール。GKアリソン・ベッカーやDFトレント・アレクサンダー=アーノルド、FWディオゴ・ジョッタなど主力メンバーの負傷が続出しているなか、2月25日に行われたカラバオ・カップ決勝ではチェルシー相手にDFフィルジル・ファン・ダイクのゴールで1-0と勝利。今シーズン初タイトルを獲得した。

ユルゲン・クロップ監督退任のニュースは、チームの団結力をさらに深めるものとなったかもしれない。クロップ監督はカラバオ・カップ決勝というプレッシャーのかかる舞台で多くの若手選手たちにチャンスを与え、結果的にその試みは大成功した。特にDFジャレル・クアンサーとDFコナー・ブラッドリーは、第28節のシティ戦にもスタメン出場を果たし見事なプレーを披露。クロップ監督がチームとともに積み上げてきたリバプールのアイデンティティが、若手にも継承されていくことを予感させる瞬間だった。シーズン終盤にクアンサーやブラッドリーのような若手選手がビッグマッチを経験できたことは今後の優勝争いにおけるプラス材料であり、怪我人が戻ってくるまでになんとか勝ち星を積み上げたいところだ。

また、もっとも大きなプラス材料はMF遠藤航の完全なフィットかもしれない。シーズン序盤こそ懐疑的な目を向けられていた遠藤だが、その評価は第28節のシティ戦で確固たるものとなり、いまではチームに欠かせない存在である。遠藤はシティ戦でもフル出場を果たすと幾度となくボールを奪取。同試合におけるクラブのマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)を獲得した。遠藤がボールを刈り取り、MFアレクシス・マック・アリスターが供給するというコンビネーションは成熟を迎えており、リバプールは中盤の最適解を見つけることができた。だからこそいまの状態をキープするために、これ以上怪我人を増やさず勝ち点を積み上げることが優勝へ向けての最善だろう。


プレミアリーグのロゴ 写真:Getty Images