胸びれと腹びれを手足のように使い、歩くように移動する姿がかわいいカエルアンコウ。アクアリウムにペットとして迎えられることもある愛嬌のある魚です。この記事では、カエルアンコウの生態について、また2022年に国内で初めて確認された汽水・淡水域に生息するカエルアンコウの仲間について紹介します。

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(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

海底を歩く姿がかわいい【カエルアンコウ】に注目 近年国内で見つかった種も

背びれと腹びれで海底を歩く姿が特徴

カエルアンコウとは、アンコウ目カエルアンコウ科に属する魚類の総称、またはその代表種であるカエルアンコウのことを指します。この記事では、カエルアンコウ科に属する魚を総称します。

カエルアンコウ科の魚は世界で15属53種が知られており、その多くは海水魚です。大西洋と太平洋の熱帯・亜熱帯域、インド洋、紅海と広い範囲に分布しています。カエルアンコウ科の魚の中でも、ピエロカエルアンコウは汽水・淡水域で見ることができます。

海底を歩く姿がかわいい【カエルアンコウ】に注目 近年国内で見つかった種もカエルアンコウ(提供:PhotoAC)

普段はサンゴやカイメンなどの上や海底であまり動かずに暮らしています。ひれを使ってゆっくりと歩く姿はまさにカエルアンコウを象徴するものと言ってもよいでしょう。

泳ぐときには、吸い込んだ水をえら孔から水を勢いよく噴射し前進することもあります。海底で獲物を見つけると、胸びれと腹びれを器用に動かして歩き、ゆっくりと相手に近付いて捕食します。

擬態と額の釣り竿を使った華麗な狩り

種・個体によって大きく異なる形態や体色が特徴です。中には擬態する種も。カエルアンコウの擬態は捕食者から身を隠すほかに、餌となる魚を引き寄せる役割を持っており、小さな魚の住処である石やサンゴに擬態する種や、小さな魚の餌となる海綿動物などに擬態する種などがいます。このように餌を引き寄せるための擬態は、動物行動学においてぺッカム型擬態(攻撃型擬態)と呼ばれます。

海底を歩く姿がかわいい【カエルアンコウ】に注目 近年国内で見つかった種も擬態するカエルアンコウ(提供:PhotoAC)

カエルアンコウは魚を捕食するフィッシュイーターです。額からのびた釣り竿状の背びれの先端にあるエスカと呼ばれる疑似餌を生き物のように動かし、それを餌だと思って近づいてくる魚を食べてしまいます。

海底を歩く姿がかわいい【カエルアンコウ】に注目 近年国内で見つかった種も釣り竿を出しているカエルアンコウ(提供:PhotoAC)

普段はゆっくり動くので、のんびりとした魚…と思いきや、捕食スピードは目に見えないほど早く、その速さは0.006秒ともいわれています。YouTubeでは、カエルアンコウの捕食シーンをスローモーションで見ることのできる動画が国内外からシェアされているので、そちらも併せて見てみてくださいね。