コックやシェフと聞くと、白くて長い帽子を被っているイメージがありませんか?
料理をするときに邪魔になるんじゃないか?と思うほど、長いのはなぜなのでしょうか?その理由や由来などについて見ていきましょう。

コックが長い帽子を被る、2つの由来

コックの帽子はなぜ長い?その理由をご紹介!
(画像=『FUNDO』より引用)

コックが被る帽子が長いものとなった理由、そこには2つの由来があるとされています。

由来① 白いシルクハットが気に入った

コックの帽子はなぜ長い?その理由をご紹介!
(画像=『FUNDO』より引用)

一つ目の由来は、客が被っていたシルクハットをシェフの「アントナン・カレーム」が気に入ったからというもの。
その姿を厨房で真似できないものだろうかと考えて白く高い帽子を被ったのがはじまりといわれています。

由来② 背を大きく見せたかった

もう一つは、「オーギュスト・エスコフィエ」というフランス料理のシェフが、自分を大きく見せて威厳を示すのが目的としたのが始まりだといわれています。

オーギュスト・エスコフィエというシェフは自分の身長が150cm台ということに非常にコンプレックスを持っていたといわれています。
そこで彼は自分の威厳を保つためにも、通常のコック帽よりも30cmも長い帽子を被り、仕事をしていたというのです。

そんな彼の姿が評判となって、フランス料理では料理長は長い帽子を被るようになったという説もあります。

由来とされる人物は共に偉大なシェフだった!

コックの帽子はなぜ長い?その理由をご紹介!
(画像=『FUNDO』より引用)

由来とされる「アントナン・カレーム」と「オーギュスト・エスコフィエ」という人物は、フランス料理界にとって非常に重要な人物です。

アントナン・カレームという人物

アントナン・カレームは18世紀のフランスで活躍し、ナポレオンなど多くの王侯貴族の料理人、そして料理長として仕えました。
フランス料理への貢献も大きく、ヨーロッパの秩序再建と領土分割を目的とした「ウィーン会議」では各国要人をもてなす宴会でその腕前を披露したとされます。

華美に盛り付けられた料理をテーブルいっぱいに並べる豪華絢爛なカレームの料理は、要人たちを虜にしただけでなくフランス料理は素晴らしい料理だ、ということを各国に知らしめることになったといわれています。

現在のようにヨーロッパの社交界で賓客をもてなす料理としてフランス料理が出されるようになったのは、このウィーン会議でのカレームの活躍があったからこそ・・・なのかもしれませんね。

他にも、カレームはフランス料理の基本ソースを「ソース・アルマンド」「ソース・ベシャメル」「ソース・エスパニョール」「ソース・ヴルーテ」の4種と定め、分類をした人物でもあります。
この4つの基本ソースは現在のフランス料理でも使われていますので、いかにカレームが偉大な料理人だったかがわかります。

また、「国王のシェフかつシェフの帝王」という異名があったことからも、彼が優れたシェフであったことがうかがえます。

オーギュスト・エスコフィエという人物

オーギュスト・エスコフィエは、19世紀後半から活躍したフランス料理のシェフです。
伝統的なフランス料理の大衆化と革新に貢献し「近代フランス料理の父」とも呼ばれています。

フランス料理を食べるといったら単品で注文、というより「コース」でお願いするというイメージがあると思います。
このコース料理という食事スタイルを考案した人物こそが、オーギュスト・エスコフィエだといわれています。

それまでのフランス料理、前述のアントナン・カレームなどの時代のフランス料理といえば、テーブルいっぱいに綺麗に盛り付けられた料理が並ぶ、という宴会やパーティーでこそ輝く料理でした。
落ち着いて時間をかけて料理を堪能する、現在のフランス料理のスタイルは、エスコフィエのコース料理という発明があったからこそといえるようです。

またエスコフィエは、高級ホテルとして知られる「ホテル・リッツ・パリ」を1898年にホテル経営者のセザール・リッツと共に設立したことでも知られています。