日本は世界一の「自販機大国」であることを知っていますか。自販機の普及台数はアメリカが世界一ですが、人口や国土面積を勘案した普及率では日本が世界一。普及台数もアメリカに次ぐ世界二位で、日本の治安の良さが関係しているようです。また、飲料・タバコ・食品等の自販機全体の年間売り上げ(2016年)は約4兆7,000億円と、約1兆円もアメリカを上回る売上金額でした。自販機の設置は儲かるのでしょうか。今回は飲料自販機について解説していきます。

自販機ビジネスのしくみ

まず、飲料自販機の設置会社は2種類に分けられます。ひとつは飲料メーカー(例:コカコーラ・伊藤園)。自販機で販売される商品の製造と自販機の管理・運営のオペレーションを行います。もうひとつは専業オペレーター(例:ジャパンビバレッジ)。自販機の管理・運営のオペレーションに特化しており、様々な飲料メーカーの商品を取り扱うことができます。

経営方式は以下の通りです。

フルオペレーション

利益=(販売価格×売上本数)×マージンの割合-電気代

土地を提供するだけで、自販機の設置・商品の補充・ゴミ回収等はすべて業者対応。何もしなくて良い。売上に応じて販売手数料を受け取ることができる。相場は20~30%程度で、販売価格や立地条件によって異なる。ランニングコストは電気代のみ。

セミオペレーション

利益=(販売価格-仕入価格)×売上本数-電気-リース代

自販機をリースか購入し、自分で仕入・補充・掃除等すべてを行う。メーカーに関係なく好きな商品や価格を設定できる。フルオペレーションに比べ、商品1本当たりの利益は高い。

次のように仮定し、具体的な収益シミュレーションを見てみましょう。
 

販売価格 130円/本
売上本数 300本
電気代 2,000円/月
販売手数料(フルオペレーション) 25%
仕入価格(セミオペレーション) 60円/本
自販機リース代(セミオペレーション) 10,000円/月

【フルオペレーション】

利益=(販売価格×売上本数)×マージンの割合-電気代

利益=(130円×300本)×25%-2,000円
1か月の利益…7,750円

【セミオペレーション】

利益=(販売価格-仕入価格)×売上本数-電気-リース代

利益=(130円-60円)×300本-2,000円-10,000円
1か月の利益…9,000円

儲かるためのポイントは「いかに多くの人に買ってもらうか」、つまり設置場所が最も重要です。人通りが多く、近くにコンビニがない土地等は適しているといえます。人通りが少ない土地を所有しているならば、別の土地活用を検討した方がよいかもしれませんね。

進化を遂げる自動販売機

電子マネーが利用できる飲料自販機は、すでに珍しくありません。近年ではスマートフォンと連動させた、新しい自販機が登場しています。

イノベーション自販機

JR東日本ウォーターサービスが提供するこの自販機は、スマートフォンアプリ「acure pass(アキュアパス)」を使って事前にドリンクを購入することが可能です。黒い筐体が目印のイノベーション自販機は、JR東日本駅構内約400箇所に設置されており、アプリで設置場所を検索することができます。アプリを持っているだけで無料ドリンクが貰えるキャンペーンもありますし、会員登録をすれば商品購入ごとにポイントが貯まり、商品と交換することもできます。

スマホ自販機

これはコカ・コーラの公式アプリ「Coke ON」に対応した自販機です。アプリを起動し、自販機の金額表示部分にスマホを近づけるだけで接続ができます。ドリンクを購入するとスタンプが貯まり、15個集めるとドリンク一本と交換できるチケットを貰うことができます。さらに歩数計とも連動しており、アプリで設定した目標歩数を達成または累計歩数によってスタンプが貯まります。

見極めが重要な自販機ビジネス

フルオペレーションなら電源と土地があれば、その他はすべて業者に任せることができます。始めることは簡単ですが、儲かるかどうかは別。設置場所を見極め、その場所にあった自販機の種類や経営方法を検討する必要があるでしょう。設置会社も新しい取り組みを行っています。IoTがより進んでいけば、自販機ビジネスの収益向上も期待できそうですね。

提供元・YANUSY

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