J3長野にまさかの大敗

今年から大会方式が大幅に変わり、J1~J3の全60クラブが参加するルヴァン杯。徳島は1stラウンド1回戦でJ3の長野パルセイロと戦った。カップ戦ではあるが敗戦続きの徳島にとって、1つ勝利を手に入れ雰囲気を変える最適な場だった。徳島は直近のリーグ戦からメンバーを大幅に変更しながらも、DFカイケやFW柿谷らをスタメン起用し勝利を目指した。

しかし、メンバーを変更したこともあってか守備の改善はみられず。個々で守る背後を次々と突かれ、前半で3失点。さらに前半アディショナルタイムには懸命に得点を目指したFW坪井清志郎が相手選手の顔面を蹴ってしまいレッドカードの判定。故意ではなく必死にプレーした結果の不運だったが、10人になったことで勝利の可能性はさらに低下した。最終スコアは1-5。平日開催にも関わらず長野まで遠征した熱狂的な徳島サポーターが、前半終了後に横断幕を片付ける姿までみられた。

吉田達磨監督(ヴァンフォーレ甲府所属時) 写真:Getty Images

新たな哲学を求めて

前述のように徳島は2020シーズンにリカルド・ロドリゲス監督のもとJ2を制している。それ以降、成績が振るわなかったとはいえ、2017シーズン以降は常にスペイン監督のもとでボールを握り自分たちが主導権を持つ戦いを志向し続けてきた。それは「徳島ヴォルティスの哲学」として内外に根付きつつあった。

しかし、昨シーズン途中に吉田達磨監督が就任し、約7年続いたスペイン人監督の系譜は終了。低迷していたチームの立て直しを優先した結果、現監督は確かにチームを残留に導いた。その弊害として、これまで作り上げてきた哲学は崩れ去った。新たな哲学を作るべく2年目のシーズンに向けて期待された上積みは今のところ発揮されていない。「徳島とともに、最高の瞬間を」というスローガンばかりが虚しく響く。このままきっかけを待つのか、それともカンフル剤を打つのか。クラブに残された時間や選択肢はそれほど多くない。