宇宙空間は大混雑?衝突回避のカギとなる「SSA」にも貢献
Dragonfly Aerospaceは、上記製品のうち2023年11月にローンチした「Chameleon SWIR」および「Komodo」を活用すれば、衛星運用者であるクライアントは地球観測およびSSAアプリケーション向けのデータ提供を強化できるとしている。
SSA(Space Situational Awareness)は日本語で「宇宙状況把握」。宇宙開発競争の過熱にともない地球周辺の宇宙空間が混雑するようになり、物体同士の衝突回避が重要な課題となっている。 SSA技術は物体の軌道を追跡、衝突の可能性を予測、衛星運用者が情報に基づいた意思決定を行うための貴重なデータを提供するうえで重要な役割を果たすものだ。

地球周辺の宇宙空間は衝突の危険性が高い状態。Image Credits:Dragonfly Aerospace
自社製品としてカメラだけでなく衛星バスも開発
同社は衛星用カメラだけではなく、衛星プラットフォーム自体も自社開発している。現時点で展開されているのは150キロクラスの「Dragonfly Bus」およびさらに小型の100キロクラス衛星「µDragonfly Bus」の2モデル。前者は農業・地質モニタリングに、後者はワイドスペクトラムの地表観測で活躍する。

Image Credits:Dragonfly Aerospace
衛星の観測技術が進展すれば、自然災害の予測や無人輸送システム、農業の効率化などさまざまな社会問題の解決につながると言われている。また、低軌道で使用されてきたキューブサットは、技術の進歩と共に地表観測だけでなく低コスト宇宙探索でも大きな役割を果たすようになった。Dragonfly Aerospaceも含め、今後の宇宙スタートアップの発展と技術推進が待望されるところだ。
引用元:Dragonfly Aerospace 公式サイト
※1:隣り合う2つのピクセルの中心間の地表面上で測定された距離。数字が小さいほど高精細
※2:一般的なRGBカメラは、3バンド(RGB)の波長情報を取得する。マルチスペクトルカメラの波長情報は10バンド程度、ハイパースペクトルカメラのバンド数は10万バンド以上の波長情報を取得する
(文:Takasugi)