先週土曜日(1月13日)、NHK、毎日などで「安倍派幹部刑事立件見送り」と報じられたことで、国民の怒りが爆発している。

X(旧ツイッター)などのSNS上では、「安倍派幹部の立件断念」「地検特捜部」などがトレンド入りし、検察への批判、不満、失望、絶望などの夥しい数の投稿が並び、「#検察は巨悪を眠らせるな」、などのハッシュタグの投稿も膨大な数に上っている。

昨年12月には、検察リークと思える報道で安倍派幹部の閣僚級国会議員の名前が次々と報じられ、年末には、安倍派、二階派の事務所に対して捜索が行われたことで、検察捜査に対する期待は最高潮に達し、「安倍派幹部は全員逮捕」などの声まで上がっていた。そのような検察捜査への期待が、突然の「安倍派幹部の刑事立件見送り」の報道で一気に冷や水を浴びせられたことで、ネット上の批判が凄まじいものとなった。

そして、1月16日、処分の見通しについては沈黙していた読売新聞も、「安倍派幹部7人不起訴へ、会計責任者との共謀認定できず」と報じ、派閥幹部の不処罰が確実なものとなったことで、世の中の反応は一層激しくなっている。

このような「政治資金パーティー裏金問題」をめぐる状況に関して、国民は何に怒り、不満を爆発させているのだろうか。

直接的には、「当然処罰されると思っていた安倍派幹部が処罰されない見通しと報じられたこと」であり、検察の捜査と処分の見通しに対する不満である。

今回の東京地検特捜部の捜査は、当初から、政治資金規正法の「政治資金収支報告書の不記載・虚偽記入罪」の容疑で行われ、その罰則を適用して刑事処分を行うことをめざしてきた。そのような政治資金規正法違反による捜査処分が、国民の期待を裏切る結果になりそうだということが、国民の激しい反発の直接的な理由だ。

しかし、SNSの投稿の中身をみてみると、実は、国民が今回の事件で憤っていることの大きな要素に、「課税に対する不公平感」がある。

今回の問題は、安倍派の幹部を含む多くの政治家が、政治資金パーティーの収入から多額の「裏金」を得ていたという問題である。政治資金規正法という法律上は、政治資金収支報告書による「政治資金の収支の公開」の問題であり、その記載義務に違反したことに対する罰則適用の問題だが、国民が怒っているのは、「収支報告書の記載」の問題ではない。

国会議員が、政治資金パーティーの売上の中から、自由に使っていい「裏金」を受け取り、それについて税金の支払を免れているということに対して、激しく怒っているのである。

国民は、事業者も、サラリーマンも、汗水流して働いたお金を報酬・給与として得る。それについては、法人の事業を行って得たお金であれば「法人税」等を、個人の収入として得たお金であれば「所得税」等を支払わなければいけない。その上で、残ったお金を自由に使うことができる。

ちょうど、今、個人事業主などは、確定申告に向けて気の滅入るような作業を強いられ、それによって税金を払わざるを得ないことになる。しかも、昨年10月にインボイス制度が導入され、「会計処理の透明化」の動きが中小企業や個人事業主にも及び、多くの国民がその負担に喘いでいる。それなのに、政治家の世界では自由に使えて税金もかからない「裏金」という、「領収書不要の金のやり取り」が行われている。