■連綿と続く文化のレジリエンス
今回の研究ではサフル大陸への最初の入植は5万年前または7万5000年前と最も一致していることもわかった。
以前のモデルでは、ニューギニアを通る北の侵入ルートがおそらく人々にとって最もアクセスしやすかったことが示唆されてきたが、今回のモデルでは現代のティモールを通ってキンバリーに入る南のルートがメジャーなルートであったことが示されている。
さらに今回のモデルは、ニューギニアと現在水没している大陸棚の両方を含むサフルの陸地全体をカバーしており、これらはサフルの総陸地の約30%に相当しているのだが、これまでの人口推計には、この広大な地域が含まれていなかったのだ。

研究チームによれば推定総人口640万人を当時利用可能な土地面積で割ると、100平方キロメートルあたり約55人という計算になるという。
これは、オーストラリアの一部の沿岸地域では 100平方キロメートルあたり34人、ニューギニアの焼畑農業社会では100平方キロメートルあたり437人の推定人口密度と比較することができる。
アボリジニとトレス海峡諸島の人々は、天然痘などのヨーロッパの病気への曝露による死亡率の高さと、入植者による大量虐殺の悲惨な歴史のために、ヨーロッパ侵略直後の人口推計が低くなる可能性が高い。
研究チームはこの洗練されたモデリングツールを用いて、ヨーロッパ人以前のオーストラリアでの生活のあらゆる側面を網羅し、先住民族のデータのプールを組み合わせることで、オーストラリアの先住民族の祖先の複雑さ、能力、回復力の理解を深めれることができたという。
今は亡きサフル大陸だが水没と共に文明が崩壊したわけではなく、この地域の先住民の文化は連綿と続いており、調べれば調べるほどにこれらの古代から永続する文化の優れた創意工夫とレジリエンスについて理解を深めることができるということだ。2万年前に繁栄を見せていたサフル大陸についてさらに驚くべき発見がもたらされることを期待したい。
参考:「The Sun」、「The Conversation」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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