「iDeCo」と「新NISA」に注目

 それだけではない。「金利0.07%の定期預金に資産を預ける」選択が賢明ではなく、むしろ損失を発生させ続けてしまうのだ。盲点は物価上昇率である。

「物価の上昇率を下回る金利の金融商品に資産を預けると、実質的に資産が目減りしてしまう。消費者物価指数の総合指数(生鮮食品を除く)は2022年平均が前年比2.3%上昇、さらに2023年平均は前年比3.1%上昇と歴史的な伸び率となった。物価上昇は続いており、ゆうちょ銀行どころかインターネット専用定期預金の金利でも目減りが進んでしまう」(平野氏)

 物価上昇が続く時勢にあって、余裕資金を定期預金に預けることはいわば悪手である。いまや定期預金は運用先でというよりも、近々にはっきりとした使途のある資金をプールしておく手段に切り替わったのだ。

 では、より魅力的で賢明な運用先と評価できる金融商品は何だろうか。平野氏が勧めるのは「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「新NISA」である。

「iDeCoは商品に定期預金を選んでも、掛金の拠出1回につき最低171円の手数料がかかるが、掛金の約15%以上の節税ができるのでアリだ。1年間の拠出回数は1~12回で選択可能である。一方、新NISAは、投資信託や個別株を購入することになりリスクはあるが、長期的には高い利回りが期待でき、運用益も非課税である。しかも海外の株式や債券に投資する投資信託を選べれば、円安対策として通貨分散の効果も期待できる」(平野氏)

 ただ、資産運用にはポートフォリオ作成が肝心だ。全資産のうち近々に必要な資金と余裕資金を区分けし、家族の状況や住宅ローンなどを踏まえて自分に適した運用先を選定するには、まずは中立的な立場で助言してくれる独立系フィナンシャルプランナーへの相談が現実的ではないだろうか。日本FP協会が実施した「2021年度ファイナンシャル・プランナー実態調査 結果報告書」によると、FPの相談料は「1時間当たり5000円~1万円」が47.3%、「同1~2万円」が33.5%である。

(文=Business Journal編集部、協力=平野雅章/横浜FP事務所代表)

提供元・Business Journal

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