周りと差を付けられる小論文を書くときのコツ

―――ほかに、合格に近づくための対策や心構えがあれば教えてください。

今道さん:少しでも早い段階で、小論文の対策をはじめることが大切です。小論文が苦手だからといって後回しにしていると、対策する時間が取れないまま当日を迎えてしまいます。

たとえば、東京の23区でおこなわれる公務員試験では、小論文を1,500字程度書く課題が毎年出ています。1,500字は原稿用紙4枚程度とボリュームが多いため、直前であわてて対策をはじめても太刀打ちできません。

ほかには、やはり新聞などを読んでプロの文章に触れることが大切ですね。伝わりやすい文章を書くコツが身に付くだけでなく、課題としてよく出る時事問題の知識も増えていきます。

―――試験直前の人でも役立てられるような、小論文を書くときのコツはありますか?

今道さん:はい、いますぐ実践できて、周りとも差を付けられるコツを2つだけお伝えします。

1つ目は「問題の意味をしっかり理解する」ことです。当たり前の話に思えるかもしれませんが、私が文章の添削をするなかで圧倒的に指摘が多い項目であり、もっとも大きな減点対象です。たとえば「…を踏まえて述べよ」「…に関連付けて考察せよ」など、細かな言い回しに十分に注意してください。

どれだけ文章を整え、誤字脱字をなくしても、問われていることに正しく答えていなければ評価はされません。まずは問題文をよく読み、意味を理解してから書きはじめるだけで、合格に近づく小論文が完成します。

2つ目は「具体的に書く」ことですね。読み手の頭のなかにイメージが浮かぶように書けるかどうかで、小論文の評価が大きく変わります。

たとえば、公務員試験では「防災対策をどう進めていくか」といった出題がよくあります。その場合、単に「住民の防災意識をもっと高めていくべきだ」だけだと、何をするのかほとんどイメージできません。

こういう場合は「町内会ごとに防災講習会を開催し、家具の固定をすることや、食料の備蓄が重要であることを伝えるべきだ」のように書けば、第三者が読んだときにイメージがしやすいですよね。

いま話したコツは、合格を左右する大事な項目にもかかわらず、受験者の多くが実践できていません。つまり、試験前に再度意識をしておくだけで、ライバルと差を付けられます。

―――最後に、小論文に苦手意識をもつ若者に、メッセージをお願いします。

今道さん:小論文は、少し勉強すれば上達が可能であるため、苦手意識をもつ必要はありません。試験が近い場合でも、先ほど話した2つのコツを実践すれば合格へ近づく小論文が書けるようになります。

小論文さえできれば自分の夢が叶ったかもしれないのに、苦手だからと逃げてしまうのは本当にもったいない話です。小論文試験をひとつのきっかけにして、文章力という今後の人生に役立つ大きな武器を手に入れてみてください。