(本記事は、中川 祐治氏の著書『底地・借地で困ったときに最初に読む本』の中から一部を抜粋・編集しています)
底地の有効活用について
借地人さんに土地を貸している地主さんのなかには、有効活用なんかできっこないとあきらめておられる地主さんもいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。借地人さんの協力が必要な場合もありますが、いくつかの有効活用の方法についてご紹介致します。
㋑底地と借地の等価交換
借地人さんが2棟以上の建物を保有していたり、借地人さんのご自宅前や隣に広い庭や駐車場があったりと、ある程度広い底地の場合に利用可能な方法です。しかし、交換は借地人さんの合意を得ないことには、地主さんが単独で進めることはできませんので、必ずしも利用可能というわけではありません。将来、借地人さんから、借地権を買い取ってほしいという相談があったり、更新を機会に借地の関係を解消したい場合であったりの際の参考に、覚えておくと良いかと思います。
さて、底地と借地の等価交換ですが、地主さんの土地は半分程度になってしまいますが、借地人さんとの借地関係を解消し、地主さんは完全な所有権の土地を取り戻すことができます。地主さんは、この戻った土地にアパートを建築したり、コインパーキングにしたりと有効活用が可能です。等価交換の場合、いくつかの要件をクリアすると、固定資産の交換特例を利用することが可能で、所得税の負担がなくなりますので、利用されると良いでしょう。
交換契約書の作成、固定資産の交換特例の利用、土地の分筆登記など、専門家のアドバイスなしでは、交換の組み立ては難しいので、弊社のような専門家に相談することをお勧めします。
㋺底地と借地の同時売却
名前の通り、地主さんの底地権と借地人さんの借地権を同時に第三者に売却する方法です。同時に底地権と借地権を取得する第三者は、完全な所有権の土地を取得することになり、通常の更地を取得するのと変わりはありません。
この同時売却を選択した、地主さんと借地人さんは、それぞれがバラバラに単体で売却する時に比べ、好条件で売却することが可能です。この同時売却についても、借地人さんの合意がなければ、地主さんが単独で進めることができず、借地人さんから、地主さんに借地権を買い取ってほしいというような要望があった場合に利用する方法となります。
地主さんは、借地権買取り費用の準備が必要なく、底地を好条件で売却することが可能です。この売却代金を頭金にアパートを建築したりする地主さんもおられます。
㋩借地権の買取り
借地権の買取りは、すなわち、借地人さんを追い出すことになりますので、交渉は非常に慎重に進める必要があります。地主さんがいくら優しく「借地権を買い取っても良いですよ」と言ったとしても、借地人さんからすれば、「地主さんから立退きを迫られた!」となってしまい、弁護士などが介入することも少なからずあります。
また、地主さんの都合やタイミングで借地権買取りを申し入れると、高額な借地権買取り費用を要求される場合もあります。借地権買取りは、借地人さんからの借地権買取りの申し出や借地権譲渡の申し出時がベストタイミングだといえます。借地権譲渡の場合、地主さんには借地権譲渡を承諾しないという強権がありますので、この時は比較的有利な条件で借地権を買い取ることができる場合もあります。
地主さんによっては、「土地を利用することがなくなったのであれば、土地は地主に戻してほしい」と言って、借地権譲渡承諾ばかりか、銀行の融資などにも一切の協力をしないスタンスで借地人さんと交渉を進め、非常に好条件で借地権を取り戻すことに成功したケースもあります。買い戻した土地については、アパートや駐車場として、有効活用が可能です。
㊁底地の売却
低収益の底地を売却し、その売却代金でアパートを建築したり、マンションを購入したりと、収益を上げることを目指した底地の売却です。この底地売却には底地買取り業者への一括売却と専門家への業務委託による借地人さんへの直接売却と大きく2つの方法があります。詳細は、次の項にて、深く掘り下げて説明します。
底地の有効活用は、借地人さんの協力なくして進められないことがおわかり頂けたかと思います。同時に、借地人さんからの借地権買取りや借地権譲渡の申し出の打診があった場合、これは地主さんにとって非常に大切な場面となることもご理解頂けたのではないでしょうか。このタイミングを逃すと、次は何十年も先になってしまうかもしれません。借地人さんからの申し出には真剣に耳を傾けると同時に、専門家へ意見を求めるなど、迅速で適切な対応を取られることで、必ず底地の有効活用の成功につながっていくと思います。どうか、チャンスを逃さないよう、お気を付けください。
提供元・YANUSY
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