2024シーズン、初めてJ1を舞台に戦う町田ゼルビアの勢いが止まらない。開幕から3試合で2勝1分と、負けなしどころか勝ち点7を獲得。第3節を終えた3月11日時点で、1位のサンフレッチェ広島に次ぎ柏レイソルと並ぶ2位タイに位置している。
なぜこれほど強いのか。そして不安材料はどこにあるのか。ここでは、昨季から躍進し続ける町田の現状に迫る。
開幕戦での勝ち点1が与えた自信
昨2023シーズンのJ2リーグを制しJ1昇格を達成した町田ゼルビア。初昇格チームは苦戦するケースが多いなか、開幕戦でガンバ大阪と対戦すると幸先よく前半17分にDF鈴木準弥のPKで記念すべきJ1初得点を記録。後半はMF仙頭啓矢の退場があり10人での戦いを強いられ、相手FW宇佐美貴史の直接フリーキックで同点に追いつかれたものの逆転は許さず1-1で試合終了。開幕早々勝ち点の獲得に成功した。わずか「1」ながらも、J1初戦で勝ち点を得られたことでチームには確かな手応えが浸透した。
勝率を上げるサッカー
町田のサッカーは、勝つ確率を上げることに特化している。できるだけ数多くゴール前までボールを運び、ペナルティエリア内には多くの人数が浸入してスクランブルの状況を作り出す。第2節(名古屋グランパス戦)で先制点を生んだロングスローもその一環だ。
両サイドの深い位置でスローインを得ると、躊躇なく砲台からゴール前へと放り込む。前線にはキープ力に優れた選手を配置し起点となる。そしてゴールに近づくと、積極的に仕掛けシュートを狙う。相手にとって「怖い」プレーを選択し続ける。また、セットプレーではシンプルに蹴るだけでなく、練習でさまざまな選択肢を用意。ロングスローしかりセットプレーしかり、ボールの質と高ささえあれば得点が生まれる局面では技術の違いは関係ない。
町田にとってアウェイゲームだった第2節。試合の流れを掴むと前半21分にロングスローを起点にクロスから先制し、その後もペースを握り1-0で勝利。クラブ史に残るJ1初勝利を挙げた。対する名古屋はペースを乱され、シュート数も町田の半数7本に留まった。