小論文は勉強すれば誰でも上達する

―――今道さんが、小論文試験の対策を重要視する理由を教えてください。

今道さん:「文章が書けない」という理由だけで、自分の夢をあきらめざるを得ない人がいるんです。世の中には、自分がどうしても行きたい企業・業界があっても、小論文試験で落ちてしまう人がいます。

たとえば、警察官や消防士は公務員ですから、必ずと言っていいほど小論文試験があります。つまり、文章力がなければ、他の面でいくらアピールできても不合格になることがあるのです。

文章を書く力さえあれば、試験を突破できたはずなのに、小論文が壁となってしまい、そのまま夢をあきらめてしまうケースが実際にあるんですよね。

書けないという理由だけで自分の未来を閉ざさないためにも、小論文の勉強は大切だと考えています。

―――小論文と聞いただけで、苦手意識をもつ人がたくさんいます。なにか、前向きにとらえる方法はないのでしょうか?

今道さん:苦手意識をもっている人には、文章は勉強すれば誰でも上達することを伝えたいです。

私の生徒のなかでも、1回目の指導ではまったく文章として成り立っていなかった人が、2、3回の指導で合格水準へ達するケースがあります。苦手だった小論文が、むしろライバルに差を付けやすい科目に変わったんですよね。

自分は文章が苦手だとあきらめてしまうのではなく、まずは学んでみてください。コツをつかんで上達することがわかれば、小論文試験を前向きにとらえられると思います。

―――小論文の勉強は、エントリーシートや履歴書を書くときにも役立ちますか?

今道さん:はい、間違いなく役立ちます。文章の基本は、ES(エントリーシート)や履歴書を書くときでも変わりません。さらに、会社に入ってからも、メールや企画書の作成など、小論文の勉強で培った力を発揮できる機会は毎日のようにあります。

ほかにも、昇進試験がある企業だと、小論文が試験項目に含まれるケースはかなり多いんですよね。実際に私の塾へは昇進試験対策の問い合わせがもっとも多いです。社員としてどんなに実績があっても、小論文が書けないと昇進できないというケースもあります。

つまり、小論文の勉強は、就職試験を受けるためだけではなく、その後の人生にすべて役立っていくといえますね。逆に考えれば、いま文章を書くことを苦手なままにしていると、社会人として、ずっと損をしてしまうことになります。

後編では、実際に小論文試験を学ぶ第1歩をどのようにすればいいのかや、書くときに最低限意識しておきたいコツについてお聞きします。