バランスに優れたシングルモーター誕生。素直なドライバビリティが魅力

RZには、Fスポーツパフォーマンスに先駆けて、2023年11月にRZ300eが追加されている。RZ300eはフロント150kWのシングルモーター仕様のFF駆動となる。RZの課題のひとつ、航続距離をより重視したグレードといえるだろう。

【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

RZ450eからリアモーターを外した結果、車両重量は100kg軽量の1990kg。バッテリーはRZ450eと同じ71.4kWhだがインバーターに電力ロスの少ないSiC(シリコンカーバイド)素子を採用。1充電走行距離599kmを実現している(RZ450eは499km)。さらに急速充電速度向上に寄与する電子急速昇温システムの採用で、「低外気温化での急速充電時間」の短縮も図った。

シングルモーター化に合わせ、スプリング/ショックアブソーバー/スタビライザーは最適化され、リアのサスペンションメンバーは新規で開発。タイヤは18インチがデフォルトだ。

試乗前は「DIRECT4がないRZなんて……」と思っていたが、試乗後は「ほー、いいじゃないか」というのが素直な印象。モーター出力は150kWだが100kg軽量なのでパフォーマンスに不満はなし。FFのBEVで感じられる前後方向のピッチングは最小限だ。

ハンドリングはDIRECT4のような驚きはないものの、FFながらも旋回時の姿勢は良好。フロントタイヤ依存ではなくリアを上手に使いながら綺麗に曲がってくれる。快適性もエアボリュームの高い18インチの50タイヤがいい仕事をしており、路面へのアタリ、足の動き、ショックの吸収性などすべてが優しく、電子制御ダンパー(AVS)いらずだ。無理をせずピュアでスッキリした走りは、個人的に「DIRECT2」と呼びたい。

価格はRZ450eに対して60万円安い820万円。もう少し安いほうがRZ450eとの違いを明確にできそうな気もするが、RZをファーストカーとして使いたいユーザーにとっては現時点でのベストチョイスかもしれない。

【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

レクサスRZ主要諸元

【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

グレード=RZ300e
価格=820万円
全長×全幅×全高=4805×1895×1635mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント:1610/リア:1620mm
車重=1990kg
モーター型式=交流同期電動機
モーター最大出力=150kW(203.9ps)
モーター最大トルク=266Nm(27.1kgm)
一充電走行距離=599km(WLTCモード)
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
駆動用バッテリー総電力量=71.40kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=フロント:リア:ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/60R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名