【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=レクサスRX450e Fスポーツパフォーマンス/価格:1180万円(限定100台)。ボディサイズは4860×1965×1625mm。標準RZ450e比で全長は55mm長く、幅は70mmワイド、全高は10mm低い。エクステリアはカーボンウイングなど全17点のエアロパーツで大胆に変身。走りはレーシングドライバーの佐々木雅弘選手とともに下山のテストコースを徹底的に走り込んで鍛え上げた、『CAR and DRIVER』より引用)

BEVもスポーツフィールが大切。レクサスの新回答

RZは、レクサス初の専用BEVとして登場した。総合的にはよくできたクルマだと評価している。ただ不満な部分もあった。それはエモーショナルな要素である。他のレクサス車で高い人気を誇るスポーティ仕様のFスポーツは未設定だった。

ただ、レクサスは忘れていなかった。それがRZ450e Fスポーツパフォーマンスである。このモデルは東京オートサロン2023でレーシングドライバー・佐々木雅弘選手がプロデュースしたRZスポーツコンセプトの量産仕様だ。

エクステリアはRZスポーツコンセプトのデザインを再現したエアロパーツ(17点)でRC Fを彷彿とさせるアグレッシブなスタイリングを演出。ボディカラーはLC EDGEに採用したマットホワイト(HAKUGIN)とブラックの2トーンを基調に電動車を示すダークブルーのアクセントをプラスした。

エアロパーツはエアレース・パイロットの室谷義秀選手とのコラボにより、航空機の空力技術を応用して開発。空気抵抗を悪化させることなくダウンフォースを増加させるために、CFD解析(流体解析)と実走を繰り返したそうだ。

【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

インテリアはブラック×ブルーの専用インテリアカラーと加飾、ウルトラスエードのシート表皮など小変更レベル。個人的にはスポーツシートやスポーツステアリング、メーター表示といった専用アイテムがほしかった。

パワートレーンは前後モーター(フロント:150kW/266Nm、リア:80kW/169Nm)やバッテリー(リチウムイオン71.4kWh)は標準仕様から変更なし。動力性能と航続距離のバランスを考慮した結果だろう。駆動方式はAWD(DIRECT4)だ。

フットワークは専用セットアップのコイルスプリング(10mmローダウン)/ショックアブソーバー、専用のEPS制御、そして21インチのアルミ(ENKEI製)&タイヤ(フロント:255/40R21/リア:295/35R21、BSアレンザ)を装備している。走りのセットアップは佐々木雅弘選手とレクサス開発チームのコラボで行った。ニュルを模したトヨタの下山テストコースを走り込んで鍛えたそうだ。

まさに意のまま、驚きのハンドリング性能。限定100台は少なすぎる!

Fスポーツパフォーマンスの試乗の舞台は開発のホーム・下山テストコースだ。
見た目がかなりアグレッシブなので、試乗前は「乗り味はかなりハード?」と予想したが、走り始めてビックリ!! RZが目指した「The Natural」の乗り味を損うことなく、「より意のままに曲がり」、「より楽しく安心」な1台に仕上がっていた。

【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

ステアリング系は滑らかな操舵フィールはそのままに、薄皮を剝いだようなダイレクトさと直結感がとにかく頼もしい。最大の驚きはハンドリングで、ターンインではタイトコーナーがタイトに感じないくらいノーズがインを向く回頭性の高さ、旋回時は腰を中心に曲がる感覚と路面に張り付くような安定感を実感。さらにアクセルON/OFFでクルマの向きをコントロールできる自在性の高さ、そしてトラクションを掛けるとリアタイヤに荷重をグッと乗せて蹴り出す感覚が味わえた。SUVというより重量配分が整ったFRスポーツのような走行フィールだ。

下山テストコースはニュルを模したレイアウトで、ジャンピングスポットや前後/左右/上下と三次元的なGが掛かるコーナーが多い。そんな状況でもクルマの動きは終始ピターっと安定、雨のハイスピードドライブでもドキッとする挙動は皆無だった。

これらはエアロパーツによる空力バランス改善と前後バランスを整えたサスペンションセットの相乗効果だろう。個人的には、4本のタイヤをより上手に使えるようになったことで、DIRECT4の効果がより明確化したと分析する。

【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新モデル試乗】そろそろBEVと考えさせるレクサスの本気モデル、RZ450eFスポーツパフォーマンスと300eに乗った!
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

快適性はスポーツモデルとしては高レベル。標準モデルと比べると引き締まっているものの、カドが取れた入力と想像以上のストローク感、そしてバネ上のフラット感など、速度域によってはノーマルよりも快適に感じた。クルマの無駄な動きを空力で抑えているので、足回りを必要以上に硬める必要がないのだろう

システム出力は標準車と共通の230kW。走りのパフォーマンスに不満はない。が、シャシー性能がレベルアップしたことで欲が出るのも事実。スポーツモードはモーター制御の自在性や出力の出しやすさを活かした「アメージング」な特性が似合いそうだ。また、BEV=無音ではなく「音」のチューニングにも期待したい。

Fスポーツパフォーマンスは、RZの潜在能力を量産の域を超えてフルに引き出した実験的モデルだ。とはいえRZの世界観を損なっていない。まさに「大人スポーツ」に仕上がっている。個人的には限定100台はちょっと少ない気がした。