浦和を救った栗島
キックオフ直後からサイド攻撃が停滞気味で、INACに先制された浦和を救ったのが、基本布陣[4-2-3-1]のボランチとして先発したMF栗島朱里だ。
WEリーグ屈指の快足MF遠藤優(右サイドバック)がなかなか攻め上がれない状況を受け、前半途中から栗島が味方センターバックとサイドバック間(DF石川璃音と遠藤の間)へ降りるように。栗島が石川と遠藤の中継役を担ったことで右サイドへ円滑にパスを送れるようになり、遠藤の攻撃性が遺憾なく発揮された。
栗島のコメントから窺えたINACの乱れ
栗島が味方センターバックとサイドバック間へ降り、遠藤が攻め上がったことでINACの守備の段取りが曖昧に。基本布陣[3-1-4-2](自陣撤退時[5-3-2])の2トップ、田中と髙瀬愛実が浦和2センターバックと栗島のどちらを捕捉するのか。また、左ウイングバック北川とインサイドハーフ成宮唯のどちらが遠藤をマークするのか。これらが時間の経過とともに判然としなくなり、INACのプレスは機能不全に陥った。
前半12分の浦和の攻撃シーンが、この典型例。ここでも栗島が石川と遠藤の間でボールを捌き、攻撃の起点に。ここから始まった遅攻で清家がシュートを放ち、同点ゴールを挙げた。
試合後に筆者の取材に応じた栗島のコメントからも、INAC陣営の乱れが窺える。自身のポジショニングへの手応えも感じられた。
ー遠藤選手との関係性についてお伺いします。前半途中から栗島選手が味方センターバックとサイドバックを繋ぐ位置へ降りていましたね。そのおかげで遠藤選手が攻め上がれたように見えました。(ピッチ上で)何を感じてあのポジションをとったのか。ぜひ教えてください。
「優の特長は繋ぎの部分(自陣で配球役を担う)より、前へ出ていくことにあると思います。(遠藤が高い位置をとると)相手にとって脅威だと思うので、そこは活かしたいなと。自分がそこに立つことで、相手のプレッシャーがずれるのを感じた(思い通りに守れていない様子が分かった)ので、そのポジションに入りました」
ーINACのインサイドハーフ、成宮選手が守備対応で困っている感じがしました。栗島選手から見て、困っている様子は窺えましたか。
「はい。優がそこ(低い位置)でシンプルにボールを受けるよりも、(遠藤が)前に出ることで相手のマークがずれていくのを感じました」