独メルセデス・ベンツは30年の「完全EV化」を見直し、25年までに新車販売の最大50%がEVとPHV(プラグインハイブリッド)になるという従来見通しを修正し「20年代後半」に遅らせた。米ゼネラル・モーターズ(GM)はミシガン州の工場で電動ピックアップトラックの生産拡大の計画の延期を発表した。

各国のEV補助金効果の一巡や、世界的なEV販売の減速が背景だ。欧州ではドイツが23年12月中旬からEV補助金の支給を前倒しで停止し、中国でも中央政府によるEV購入の補助金などを22年末に終了している。

調査会社マークラインズによると、主要14カ国のハイブリッド車(HV)の販売台数は23年、前の年から30%増え、EVなどの伸び(28%)を上回った。中長期ではEVへのシフトは進む見通しだが、足元で成長ペースが踊り場を迎えている。

長期的には化石燃料を燃やす内燃機関からEVへのシフトは必然だと思います。ですがそれは解決すべき技術的な問題が多数あり、短期間では不可能です。

CO2排出を減らすにしても、ぼくは以前から合成燃料とディーゼルハイブリッドを推奨してきました。ディーゼルはガソリンに比べて燃費よく、合成軽油は天然ガスなどだけではなく、バイオ由来の燃料も使用できます。天然ガス由来の合成燃料でも通常の軽油よりも排ガスも減って効率もいいですがバイオ由来燃料を組み合わせればもっとよくなります。

ですがそれは燃料用にとうもろこしなどを栽培するのではなく、サトウキビの絞り粕などの廃棄されるものを優先すべきです。

10年以上前に流行ったバイオ燃料ブームを仕掛けたのは、穀物メジャーです。食料以外に燃料にもつかえるなら穀物の値段はあがるからです。これをエコだと宣伝していましたが、化けの皮が剥がれました。アマゾンの森林を切り開いてトウモロコシ畑にして燃料用コーンを量産することがエコではないのは子供にも分かる理です。

バイオ燃料はそれぞれが小さな規模の廃油や藻も栽培、など多くのソースを使うものになります。それは当然航空燃料にも使えます。

木質バイオマス発電も同じです。木質バイオマス=エコではありません。これが有用なのは製材所などで発生した端材などを利用して、そのエリアで発電と給湯を利用したものです。熱帯雨林を伐採してチップをわざわざ作って海を越えて燃料使って運んできたものを燃やすのがエコではないのはこれまた子供でも分かる話です。

フェアトレードも同様で、現地の農家にはむしろ害悪になっています。ええカッコをしたいいチョコ屋やコーヒーが自称意識高い系の情弱を騙してブランドイメージを高めるために使っている方便です。

そしてこのようなインチキ救世トレンドは多くの人を不幸に陥れます。そのような扇動にメディアが加担し、いいと信じて他人に強要するのは反社会行為です。地獄への道は善意という敷石で舗装されている、というわけです。

こういう「〇〇はエコだ!反対する人間は非国民」みたいなキャンペーンは、大概はインチキであり、金儲けの手段にしている汚い連中の企みが多いことは知っておくべきです。

【本日の市ヶ谷の噂】 防衛省と大日本帝国海軍、海上自衛隊が世界に誇る哨戒機、川崎P-1の稼働率はわずか30%台に過ぎず、その主原因は信頼性の低いIHI製のエンジンと、富士通の赤外線センサーシステムで、過去要求された「近代化」予算の多くは、不具合の改修に使われた、との噂。

編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年3月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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