■前頭葉の損傷で性格が変化した
ゲージは事故後に性格が変わったといわれている。それはやはり脳の一部が損傷したことでおきたのだろうか。この問題は後に医学論争にまで発展する。

彼の友人たちや主治医は「もはや以前のゲージではない」と話し、事故以前の実直さが失われ、悪態をつくことが多くなったと報告していたことが記録に残されている。
ゲージのケースは脳のそれぞれの部分が異なる機能を実行するという考えが正しいことの証明であると言う者もいれば、脳のある部分が失われた場合にどのようにして別の部分を引き継ぐことができるかを示すケースであると説明する専門家もいた。
カーディフ大学の神経科学教授、ジョン・アグルトン氏は、2011年に「BBC」に対し、それはどちらもある程度正しいと語っている。
「このケースは一種の計画や知的戦略を連想させる脳の一部である前頭葉が、感情においても重要な役割を果たしているという事実を人々に警告しました」(アグルトン氏)
つまり前頭葉の損傷によってゲージの性格に変化がもたらされたというのである。モラエス氏が作成したアニメーションでも金属棒がゲージの頭蓋骨を貫通し、前頭葉の大部分を破壊している様子が示されている。

事故の後のゲージはこの性格の変化のために元の職場に残ることはできなくなり、チリに渡って長距離駅馬車の運転手の仕事に就いた。
しかし健康を害したため、後にカリフォルニアに移住し、残念ながら1860年に36歳の若さで死去する。
メルボルン大学の心理学教授マルコム・マクミラン氏は「BBC」に対し、ゲージの死因であるてんかんはおそらく事故が原因だったと話す。
悲惨な事故とその後のゲージの恵まれない暮らしぶりは残念であったようにも思えるが、医学の進歩に貢献した立派な人生であったと信じたい。
参考:「Daily Mail」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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