世界で1番を選ぶアワード、それがWCA
世界各国・各地域で発売されるすべてのモデルを自動車のプロが平等かつ公平に評価するアワードが「World Car Awards」(WCA)である。世界34か国、計102名のモータージャーナリストが6項目を基準に投票を行ない、大賞(World Car of the Year)に加えてカテゴリ別の章典(Electric/Urban/Luxury/Performance)を選ぶ。WCAは2024年2月にWorld Car Finalsが発表。そして、最終審査が行なわれ2024年3月のニューヨークオートショーでWINNERを発表する。
ノミネート車を一同に集めた「World Car Awards LA TEST Drive」の印象を報告していこう。
ヒョンデIONIC5の高性能版「N」は超刺激的だった!
ここ数年、電気自動車(BEV)が増えているのは解っていたが、今年の試乗車は8割近くがBEV。その中で強いインパクトを放ったのが、昨年World Car of the Year/World Electric Vehicle/World Car Designの三冠を獲得したヒョンデIONIQ 5の高性能バージョン「N」だ。
スポーツ性を引き上げた内外装、システム出力609psの前後デュアルモーター、強化されたサスペンションとブレーキ、21インチの専用タイヤなどが奢られる。制御系も抜かりなしで、前後トルク配分を11段階に調整可能な「Nトルク・ディストリビューション」、ドリフト走行が誰でもできる「Nドリフト・オプティマイザー」、8速DCTの加速感とシフトショックを生み出す「N eシフト」、さらにエンジン音やジェットサウンドを奏でる「Nアクティブサウンド」とてんこ盛りだ。
一般道とフリーウェイ、ハイスピードワインディング(エンジェルクレストハイウェイ)でテストドライブ。どこを走っても「これは凄い!!」と言うのが率直な印象だった。
通常走行はジェントルでノーマルのIONIQ 5より「ちょっとキビキビ感があるかな」といったレベル。だがアクセルを全開にすると609psが炸裂、思わず「ウケる~」と声が出てしまった。コントロールされた加速なので609psなのに「手の内感」が高いのも凄い。
BEVなので通常は静かで滑らかなフィール。とはいえ「N eシフト」と「Nアクティブサウンド」を活用すると、まるで高性能エンジン車に乗っているような感覚が味わえる。アクセル開度と疑似音の連動は完璧だし、シフト操作をするとシフトショックやバブリングまで見事に再現していた。
驚きはフットワークである。車両重量は2100㎏とヘビー級、その重さを感じさせないボディコントロールは世界トップレベルだ。しかもタイヤ(専用ピレリ製)のグリップに頼っている印象はない。基本素性(重量配分や低重心)の良さに加えて、「Nトルク・ディストリビューション」による緻密な駆動力制御が効いている。ワンディングを走っている時はBEVを意識することは一度もなく、純粋に「スポーツモデルとして凄い」と思った。
ちなみに日本の筑波サーキットは1分3秒台で走るそうだ。単に加速力だけではこのタイムは出ない。コーナリング性能の素晴らしさを実証している。