■元公安警察が明かした「三億円事件」の真相

北芝  単刀直入に、三億円事件の犯人は、当時のとある白バイ隊員の息子です。犯人の妹も警官になっていました。犯人自身は同性愛者で、仲間と事業を始めようとしていて、その資金を調達しようと事件を起こしました。当時としては珍しかったクラブを開店するため、ハコや備品、ホステスたちに支払う金が必要だったことから、東芝府中工場の従業員に支払われる給料に目をつけたのです。

――驚きました。警察側としては真相を公にすることはできなかったということですね。

北芝  話には、まだまだ続きがあるのです。実は、この三億円事件の犯人は、事件の5日後に青酸カリを飲んで突然死しています。そしてこの死は、自殺などではなかった。事件を知った白バイ隊員の父親が、息子のお茶に青酸カリを入れて殺したと考えられているのです。警察は、この一件について自殺か他殺かを明らかにせず「ある男(犯人)が青酸カリ入りのお茶を飲んで絶命した」として処理しました。捜査した人間もいなければ検証もされていないわけですから、もはやこの一連の話を立証することはできない。しかし、警察OBたちの間では、これこそが三億円事件の顛末であると定説化しています。ちなみに、金は犯人の仲間たちの手に散り散りになって渡ったといわれています。