上場会社になった後の経営課題は品質管理

 嗜好性が強いオーディオ機器やカメラと違って、家電製品は家事の負担を軽減したり、料理の手間を省いたりといった実用性が重視されてきた。国内の白物家電市場では、特定分野に強い専業が存在感を高めてきた。ロボット掃除機「ルンバ」の米アイロボットは5割強のシェアを持つ。英ダイソンは掃除機で、首位パナソニックに次ぐシェア(約19%)を握っている。

 こうした新しい潮流の中から台頭してきたのがバルミューダだ。その「家電業界の風雲児」が直面しているのが品質問題だ。加湿器や掃除機を商品化する過程で表面化した。現在、生産は中国メーカーなどに委託している。

 バルミューダは生産設備を持たず、製品を外部の企業に委託するファブレス企業だ。初期投資が少なくて済むビジネスモデルだが、品質を自社で徹底的にチェックできないという難点がある。17年2月、扇風機「The GreenFan」のリコール(自主回収・無償交換)を実施した。18年10月、最大のヒット商品である「BALMUDA The Toaster」をリコールした。19年6月にはオープンレンジの「BALMUDA The Range」のリコールも発表した。

 上場で事業を拡大する。企業規模を拡大しなければつくれない製品があるのは確かだが、独創性や高い品質の確保を両立できるのか。今後も、万人受けは考えず、特定のユーザーを念頭に置いた製品作りにどこまで特化できるか、である。

 株式を上場後も、とんがった企業の良さを維持できるか。高級家電ベンチャーの経営手腕が問われることになる。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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