アフリカの電動バイク生産はルワンダから始まった

Image Credits:Ampersand

アフリカでの電動バイクの製造は、東アフリカの同じく小国であるルワンダから始まっている。Ampersandは、2016年にルワンダで創業し、2019年にはアフリカでどこよりも早く電動バイクの組み立て生産を開始した。いまでは宅配やタクシーを営む二輪の商用ライダーに対して電動バイクのリースや販売を行い、バッテリー交換ステーションの設置も進めている。直近では2023年12月に1,950 万ドルを調達しており、調達資金はバッテリーの生産増強やバッテリー交換ステーションの追加、バッテリーやソフトウエア、バッテリー交換技術の研究開発に用いるという。

日本企業による投資、協業も

Image Credits:ARC Ride

日本企業による投資、協業も行われている。たとえば武蔵精密工業は、英国に本拠を置くケニアの電動二輪メーカーARC Rideに出資している。

ARC Rideは2020年に設立されたスタートアップで、ケニアで電動二輪や三輪の組み立て販売と、バッテリー交換ステーションの設置を行っている。武蔵精密工業はデファレンシャルギアなどを製造する自動車部品メーカーで、同社が開発したモーターやパワーコントロールユニットを含むEV駆動ユニットをARC Rideに納入している。出資を経て、二輪を含む個人用や商用の電動輸送車の開発を行いARC Rideの商品ラインナップを増やす方針だ。なお両社は部品開発やデータビジネスの共同開発も行う。

購入者へのファイナンス支援がカギ

このように電動バイクのスタートアップは国内生産によるコスト削減を進めているが、ガソリンバイクと比べるとまだ高価で、多くの個人ライダーにとっては手が届かない。電動バイクの購入に融資や割賦を提供する企業の増加が普及のカギになりそうだ。また事業用として長距離を移動することになるため、航続距離や充電ステーションの整備も課題となる。

ウガンダとルワンダの電気自動車業界に関しては、アフリカビジネスパートナーズ作成の「アフリカ業界地図・東アフリカ4カ国編」にて、主要企業や市場ニーズ、事業展開における課題や注意点について解説している。

文・藤原梓(アフリカビジネスパートナーズ)

参考:
週刊アフリカビジネススヘッドラインニュース607号
週刊アフリカビジネススヘッドラインニュース640号
週刊アフリカビジネス677号
週刊アフリカビジネス681号

≪アフリカビジネスパートナーズ プロフィール≫
https://abp.co.jp/
アフリカビジネスに特化したコンサルティングファーム。2012年設立。ケニアや南アフリカに現地法人を持ち、アフリカ40か国で新規事業立ち上げや事業拡大、スタートアップ投資に関する支援を提供。スタートアップ関連では、日本企業やCVCに対する有望スタートアップの紹介や、出資の際のデューデリジェンスを中立的な立場から提供している。

2022年にはアフリカのスタートアップの調達金額やビジネスモデルを紹介した「スタートアップ白書」を発行。毎週「週刊アフリカビジネス」をメールで配信し、スタートアップの動きを日本語で提供している。