
警察はボストンストラングラーを逮捕すべく、心理学者らを集め、プロファイリングを行った。被害者は皆高齢の白人女性で性的暴行も加えていることから、「母親を憎む白人男性」という犯人像が浮かび上がった。被害者に加えられた性的暴行は性的な目的によるものではなく、犠牲者に向けられた暴力の一環と考えられた。
だが6カ月後の12月5日、沈黙を破ったボストン・ストラングラーの新たな犠牲者ソフィー・クラークが発見されると、警察の捜査はふり出しに戻ってしまった。彼女は20歳の黒人で、明らかに強姦されており、膣内からは精液が発見されたのである。
同月31日にはパトリシア・ビセット(23)が殺害された。彼女もまた強姦され、絞殺されて首元には蝶結びが作ってあったが、その遺体はベッドに寝かされてシーツを被せてあった。これまでの被害者は皆、両足を広げて屈辱的なポーズを取らされていた。警察はますます困惑した。
翌1963年5月6日、ビバリー・セイマンズ(23)が絞殺された。遺体は全裸で手首が縛られており、猿ぐつわをかまされていた。死因はストッキングなどによる絞殺であったが、その体には20を超える刺し傷が残されていた。
この年、9月8日にはエブリン・コービン(58)が、11月23日にはジョアン・グラフ(23)が殺害されている。なお、11月の事件の前日はケネディ大統領暗殺事件が起きた日で、全米が大混乱に陥っていた最中の出来事であった。
ボストン・ストラングラーの最後の被害者は、1964年1月4日に殺害されたメアリー・サリバン(19)であるとされている。やはり自宅で発見された遺体は全裸で、ベッドに座ったような姿勢で両足を大きく広げられ、膣には箒の柄が挿入され、口からは精液が滴っていたという。首にはストッキングが巻かれ、その上からスカーフで蝶結びが作られていた。足元には「ハッピー・ニュー・イヤー」と書かれたカードが置かれていた。