時間がない若者にこそ響く効率的な学習プロセス

―――ここ数年の試験は難しくなっていると聞いたのですが、本当でしょうか?

はい、ここ数年は試験が難化傾向にあると感じています。動画教材で効率的に学べるようになり、受検者のレベルが上がったことも原因の一つかもしれません。合格水準を一定レベルに保つため、現状にあわせた適切なチューニングがなされているといえます。

とはいえ、最近の問題を分析すると、単純に覚える量が増えているわけではないことがわかります。1つひとつの単語の意味をきちんと理解していなければ、判断に迷う問題が増えている傾向にあると感じています。

つまり、意味をしっかり理解したうえで学んでいる人が、合格に近づける形式に変化しているといえますね。FP3級取得後に、より実践的な知識が必要になるFP2級を目指していくのであれば、特に押さえておくべき考え方です。

―――学業や仕事などで忙しくなかなか勉強をする時間を作れない場合には?

限られた時間で勉強効率を高めるためには、意味を理解した方が早い部分と、暗記した方が早い部分を切り分けて考えることが大切です。

たとえば、自分に関連する税金の知識は、意味を理解した方が知識として吸収できます。一方で、株式の分析に必要な計算方法のような問題については、語呂合わせや楽しいイメージを合わせて暗記した方が簡単に覚えられるんです。


引用:FPキャンプ ※理解するよりも、暗記で突破した方が効率的な部分では独自のゴロ合わせを教えている。

暗記に使用する脳の容量を減らして効率的に学ぶためにも、意味を理解した方が早い部分と、暗記した方が早い部分を使い分けてみてください。

FPの勉強を挫折せずに続ける方法

―――試験範囲が6分野もあると途中で挫折してしまいそうです。

FPは6分野あり、テキストの最初に出てくる「ライフプランニングと資金計画」から勉強をスタートする方が多いのですが、その必要はまったくありません。学習へのハードルを下げるためにも、興味のある分野から始めることが大切です。

たとえば、NISAのような新しい制度が気になるのであれば「金融資産運用」から勉強をスタートしてみてください。生活に役立つ知識をダイレクトに学べるので、勉強が楽しくなりますよ。



もし興味のある分野がないのであれば、「税金(タックスプランニング)」からチャレンジしてみることをおすすめします。税金の知識は、ほかの分野にも関わっている部分が多いので、効率的に学びを進められるんです。

―――最後に、FPをこれから学ぼうか悩んでいる若者にメッセージをお願いします。

私はいつも、FPの資格を取った方がいいかと悩む人には「わざわざ取る必要はない」と言っています。

資格の勉強は、学業や仕事の合間を縫いながら、時間をかけておこなうものですよね。もし資格の称号だけを求めているなら、別のことに時間を使った方が良いとアドバイスしているんです。



FPは、お金の知識を学ぶためのひとつの指標として、合格を目指すことに意義があります。これから確実にやってくる「お金に関わる決断」で、適切な選択をしたいのであれば、ぜひFPにチャレンジしてみてくださいね。