(本記事は、安恒理氏の著書『マンガでわかる最強の株入門』新星出版社の中から一部を抜粋・編集しています)
どちらが有効? 「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」
●分析方法は2種類
株式投資を行うには、まずどの銘柄を買うか、どのタイミングで買うかを選択しなければなりません。いい銘柄かをチェックするには、その企業の事業内容や業績などを見ます。また経済を取り巻く環境や、その会社の業界の動向も見ておきたいもの。
「企業の価値と株価に差がある場合、その差を埋めるように株価は上昇する」という考えのもと、株価を動かす経済的要因から値動きを予測するやり方を「ファンダメンタルズ分析」といいます。
これに対し「株価は、需要と供給のバランスで決まる」という考え方で株価の水準を過去の株価と比較し、値動きから先行きを予測する手法を「テクニカル分析」といいます。
●投資スタイルで使い分ける
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析をどう使い分けるか。まずスキャルピングやデイトレードといった短期投資はテクニカル分析です。株の値動きをグラフ化したチャートを主なツールとして使います。
中長期の投資では、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を組み合わせて使います。銘柄選びはファンダメンタルズ分析で、売買のタイミングはテクニカル分析で選択するといった具合です。
※スキャルピング:デイトレードより保有期間の短い超短期売買。数秒から長くて10分程度で決済。利益は小さくても多くの回数で利益を積み上げる。
※デイトレード:同一銘柄をその日のうちに決済してポジションを翌日に持ち越さないにこと。
ファンダメンタルズ分析で「いい株」を探そう
●投資すべきは業績のいい会社!
ファンダメンタルズ分析で投資先の銘柄を選ぶとき、まず大切なのは基本に立ち返って投資の目的をしっかり認識しておくことです。
「投資の最大の目的とは、利益を得ること」であり、「値上がり益」や「配当」によって得られます。人気が集中し、株が値上がりする企業にはまず業績がいいという共通点があります。業績がよければ、配当や株主優待などのリターンも期待できます。
逆に業績が悪い企業は、配当も期待できないだけでなく倒産のリスクも高まり、株式が紙クズ同然になってしまう可能性もあるため、人気が離散し、株価は下がります。
●「今」ではなく「未来」に注目
ただし、業績がいい会社の株が必ずしも値上がりするとは限りません。いま現在の業績がよくても将来、業績が悪くなると予測がなされてしまうと株価は下がってしまいます。
株価は今の業績ではなく、半年後、1年後といった将来を見据えて動く習性があります。例え今の業績が悪くても将来、回復の見込みがあれば株価は上昇します。
銘柄を選定するときは、いかに効率よく稼いでいるかという「収益性」、将来に渡って利益を生む事業であるかという「成長性」、多額の借金を抱えていない、倒産リスクが少ないなどの「健全性」を重視します。
できる投資家は「決算短信」で未来を読む
●必ず目を通したい最新情報
株式を発行する企業は年に4回、決算を行い、業績などを発表することが義務付けられています。この発表は「決算短信」として一般にも公開され、ネットでも確認できます。株価にも大きな影響を与えるので、保有する株の会社、投資のターゲットにしようとする会社の決算短信には必ず目を通しましょう。
決算短信の1ページ目には「損益計算書」や「貸借対照表」などのサマリー情報が記されているので、売上や営業利益、純利益などが一目で確認できます。
業績は前期の数値も掲載されており、その変化率に注目したいところ。さらにページをめくって「経営成績・財政状況に関する分析」の項目で現在から将来に至るまでの経営状況や今後の方針を確認します。
「業績予想の修正」に注意しよう
四半期ごとの短信発表の直前に「業績予想の修正」が発表されるケースがしばしばあります。当初見立てた業績予想が大きく外れると予測されたときに発表されます。業績がもっとよくなると予測された(業績の上方修正)ときは、株価は上振れし、業績が悪くなると予測された(業績の下方修正)のときは、株価は下振れします。
※サマリー情報:要約された情報。決算短信の1ページ目には業績や財務など要約された情報が掲載されている。
安恒理(やすつね・おさむ)
昭和34年福岡県生まれ。大学卒業後、出版社勤務。月刊雑誌の編集を勤めた後、ライターとして独立。20年以上の株式投資の経験を元に経済関係の書籍からビジネス、サブカルチャー、スポーツなど幅広い分野で執筆。
文・安恒理、ZUU online/提供元・ZUU online
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