【陰謀論は増えているわけではない】

「誤報のパンデミック」あるいは「インフォデミック」という現代的な懸念にもかかわらず、陰謀論に対する個人の信念が時間の経過とともに平均的に増加しているという証拠は見つからなかった。

 COVID-19のパンデミック2年目の激動の時期にデータを収集したにもかかわらず、である。オーストラリアでもニュージーランドでも閉鎖的な状況が続いており、反政府感情が高まっていた。彼らは参加者を6ヶ月間追跡しただけだが、もっと長い期間にわたる他の研究でも、陰謀論に対する信念が時間とともに高まっているという証拠はほとんど見つかっていない。

 最後に、陰謀論に対する信念(あるいは非信念)は安定しているが、完全に固定されているわけではないことがわかった。どの理論に対しても、参加者の大多数は「一貫した懐疑派」であり、どの時点でもその理論に同意していなかった。

 また、回答した調査のすべての時点で同意する「一貫した信者」もいた。ほとんどの説で、このグループは2番目に多かった。しかし、どの陰謀論にも、少数の改宗者がいた。彼らは調査開始時にはその説に同意していなかったが、調査終了時には同意していた。また、「棄教者」の割合も少なく、彼らは調査開始時にはその説に賛成していたが、調査終了時には反対していた。とはいえ、改宗者と棄教者の比率は互いにほぼ均衡する傾向があり、信者の比率は長期にわたってかなり安定していた。